特定非営利活動法人 日本補助犬情報センター|身体障害者補助犬に関する情報提供、相談業務を行う学術団体です。

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第8回【ママボラン記者投稿】魔法の言葉「何かお手伝いしましょうか?」が築く優しい社会

 今回、ママボランのプログラムを利用させていただき、育休中のママボランティアさんが子連れ取材をしてくださいました。
普段、障害がある方や、ましては補助犬ユーザーさんたちとは接点の無かった彼女に、当会の活動はどう映ったのでしょうか・・・
 とってもリアルな取材原稿を投稿いただきました♪

<ママボラン記者Hさんからみた補助犬理解とは・・・>

今日は補助犬たちが先生です!

 2018年11月9日。板橋区役所内で「MOTENASHIプロジェクト 板橋区・東京家政大学・淑徳大学連携事業」が開催された。

 会場には東京家政大学と淑徳大学の学生、板橋区役所の職員など、約20名が集まった。
 ゲストには補助犬ユーザー様3名と、白杖利用者様1名が参加された。
 まず、NPO法人 日本補助犬情報センター専務理事兼事務局長の橋爪智子氏が、現在活躍する補助犬の種類やその仕事内容、私たちが補助犬ユーザーや障害者の方との接する際に、何が大切なのか?などについてお話された。

 皆さんは「身体障害者補助犬法」をご存知だろうか。

 身体障害者補助犬法とは、公共施設やホテル、レストラン、病院などで補助犬を同伴する障害者の受け入れ拒否を禁じ、補助犬を同伴する障害者、そして補助犬が生活しやすい社会を実現するための法律だ。

 記事を書いている私も、恥ずかしながら最近知った法律である。

 この法律があっても、身体障害者の方が補助犬を連れて店に入ると入店拒否を受けることもあるのだそうだ。それは障害が無い私たちの無知から生まれる差別行動だ。私たちは知らないうちに障害者へ差別行動をしてしまっているかもしれない。だからこそ橋爪氏ら障害者支援を行っている団体は、身体障害者や、補助犬を取り巻く法律である「身体障害者補助犬法」や障害者の差別を禁じる「障害者差別解消法」を正しく理解し、勉強した上で障害者や補助犬と接してほしいと訴えていた。

 また2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、内閣官房で「心のバリアフリー」検討委員会が発足された。橋爪氏も参画し、本日拝聴した動画「心のバリアフリー」も検討会でいろいろと意見を伝え、作成されたそうだ。

 動画の中で、私が深く考えさせられた部分を、抜粋させていただく。

 「相手との違いを知り、尊重すること、そして相手が求めていることを確認し、応えようとする姿勢、さらに相手がどんなことを求めていて、何を期待しているのかを確かめることも大切です。

 相手を特殊な存在だと思い込むと、ためらいが生まれます。たとえ外国語が話せなくても、特別な技術がなくても一人の人として向き合い、互いにやりとりしていけば相手が何を必要としているのかがわかってきます。

 これからの日本は多様な人々が共に生きる社会になります。お互いの個性を尊重し、だれもが自分らしく生きることができる、そんな差別のない社会を築き、未来へ残しましょう。そのスタートは今日、あなたから始まります。」

 橋爪氏のセッション後は、本日のゲストの紹介があった。

 まず、須貝守男さん。盲導犬は2歳・黒のラブラドールレトリーバー。趣味は音楽で過去にはドラムやフルートなどを演奏されていたそうで、見えなくなってからは音声ガイダンスサービス等を利用し、芝居や映画鑑賞を楽しまれているそうだ。

 続いてセアまりさん。絵本の文章を書いたり、エッセイを書いている。
 盲導犬は4歳・白のラブラドールレトリーバー。50歳の時に目が見えなくなることがわかり、海に潜ったことがきっかけでフリーダイビングを趣味で始めたそう。一息で87メートル進めるそうで、世界大会に出た経験をお持ちだ。

 続いて中山利恵子さん。趣味はスキー。中学の頃からスキーを始め、自らと同じく視覚障害者で集まるグループを30年牽引されている。江東区で優しい街づくりの相談員をしており、様々なボランティア活動に参画されているそうだ。

聴導犬ユーザーさんとは、
UDトークで会話サポートをする


 最後に松本江理さん。練馬区出身。聴導犬はアプリコットのトイプードル。小学生、高校生、大学生の3人のお子さんがいる。
 成人になってから耳が聞こえなくなったそうだ。小学校などで聴導犬ユーザーとして登壇する活動を多くなさっているとのこと。

 紹介後、ゲストの皆さん4名を、会場内の各グループテーブルに招いて、自己紹介や雑談を行ったり、障害のある方が日々どのような目線や意識で行動されているかを学びながら、売店や区役所内の総合案内、トイレなどを一緒に巡った。

 私は須貝様がいらっしゃるAチームに同行した。
 Aチームは板橋区役所の職員が2名、淑徳大学学生が2名で行動した。
 まず、職員女性が須貝様の横につき、エレベーターを使って1階に降りて、売店で飲物を購入。売店では視覚障害者の目印になる点字つきの製品がいかに少ないかに気づき、ハッとさせられた。
 また、エレベーターの乗り降りの際、ユーザー様はエレベーターが来た時、音を聴いてエレベーターに乗り込むが、その時事前に乗っている人の存在がわかりづらく、人にぶつかってしまうことも多いそうだ。そうして聴いていると、わたしたちがいかに物が見える恩恵を与えられているかを知ることができた。

 そうした気づきは、最後のセッションで各チームが感じたことをポストイットにまとめ、発表する場でも多く聴くことができた。各チームに素晴らしい気づきがあった。私は感心し、学ばせていただいた。

 このイベントを通し、まずは来る2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を迎えるまでにわたしたちの意識改革が必要であることを大いに実感した。しかしこれは強制的にやっては意味がない。あくまで自然に行えることが重要である。

 障害の有無にかかわらず、一人の人として向き合い、互いにやり取りするコミュニケーションを行ったうえで、サポートが必要な人に自然と手を差し伸べられるようになろう。

 橋爪氏の言う魔法の言葉「何かお手伝いしましょうか?」が、現代の私たちの生活で

 そして未来の日本で自然と飛び交う世の中になれば、全ての人にとって優しい社会を実現できるだろう。

以上

(第8回・UDアドバイザー通信)