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当会では「東京スカイツリータウン®施設UD(ユニバーサルデザイン)アドバイザー」をオープン時より務めさせていただいております。2016年度で4年目になり、とても光栄に感じています。
スカイツリータウンでの補助犬の排泄に関しては、多目的トイレの他、「屋外スペースでの排泄希望」があれば、所定の場所へご案内いただけるルールとなっています。
日本の補助犬たちは、日本という公衆衛生マナーの厳しい国内での社会参加のため、排泄のマナーはしっかりと守れます。
ただ、海外では、犬を受入れる風土や公衆衛生観念が大きく違うので、多目的トイレ内で排泄処理ができるのは、日本の補助犬だけと考えても良いのでは無いか?と思われます。それだけ、日本の補助犬たちのマナーレベルは高いんですよ♪
補助犬の同伴を拒否する原因の一つに、『犬は不衛生』というイメージがありますが、これは、日本のペットのマナーが、残念ながら影響していると感じています。
ご近所で見かける、散歩中の犬たちはいかがでしょうか? 日本の昔からの飼い方では、電信柱におしっこをひっかけるイメージがありますが、これは「マーキング」といい、自分の縄張りを主張する、自分の存在を仲間に知らせるために行っています。しかしこれは、適切な時期に去勢手術をすることで、ほとんどの場合がなくなります(避妊・去勢に関しては、様々な病気から犬を守るためにも、補助犬でなくとも適切な時期に実施することをおすすめします♪)。
もし、癖としてなくならない場合は、社会参加をする補助犬としては「適性なし」ということで、キャリアチェンジとなります。ほじょ犬たちは、国の法律に基づいて認定されているわけですから、衛生管理・行動管理はきちんとなされていることが前提です。その中には、もちろん「排泄の管理」も含まれているのです。補助犬たちは、やたらめったら、その辺で排泄してしまうことはありません!
犬は生態学上、水分摂取の約2時間後にオシッコの量が多くなり、食餌直後や運動後にウンチが出やすいと言われています(もちろん人間と同じく個体差はあります)が、補助犬たちはそれぞれのトレーニングの中で、排泄のタイミングや仕方を覚えていきます。
トレーナーさんたちは、その個体それぞれのタイミングを把握し、それに合わせた排泄指示を行います。そして、ユーザーさんにそのタイミングを覚えてもらうことで、適切な時間と場所で、指示による排泄を成功させます。決して無理強いさせることなく、その犬のタイミングで、気持ち良く排泄できる管理をユーザーさんがしているのです♪ 人間の子どもと同じですよね♪ 決して我慢させられているわけではないこと、おわかりいただけると思います。
ちなみに、盲導犬のユーザーさんは、視覚障がい者です。ハーネスから伝わる犬の動きの変化や様子を察知し、排泄管理をしておられます。写真は、盲導犬の排泄時の秘密道具「ワン・ツーベルト」!
ワン=おしっこ、ツー=うんち、なので、その指示に従って、ちゃんと補助犬たちは排泄を指示された時間、その場所で、できるんです!
簡単に装着でき、排泄物がビニール袋に収納されるようになっているので、周囲を汚すことなく排泄物の処理ができます。
この写真を見て、「かわいそう!」と思われる方もおられるかもしれません。やはり、中には「ワン・ツーベルトではできない!」とトレーニングが進まない犬も居ます。そんな犬には無理をさせることは無く、キャリアチェンジになって家庭犬になるか、または、排泄を建物内でしないといけないシチュエーションが少ない生活スタイルのユーザーさんの元に行くなどのマッチングがされます。
そもそも、「ワン・ツーベルト」が苦手な子にさせても、排泄コントロールができなくなり、結果困るのはユーザーさんですので、そこはきちんとユーザーさんが困らないよう、犬への負担も無い形でトレーニングされていますので、ご安心を♪
また、介助犬ユーザーさんは、手に障がいのある方も多いので、排泄物の処理は難しい作業ですが、OT(作業療法士)・PT(理学療法士)の先生方と共同で様々なオーダーメイドの自助具を開発しておられます。そして多くのユーザーさんは、多目的トイレで、ペットシーツを敷いてその上で排泄するよう促すので、同じく周囲を汚すことなく処理が可能です。
補助犬ユーザーさんは様々な工夫と努力をしながら、補助犬と一緒に社会参加されています。それを知って頂ければ、安心して受入れられるはず♪
是非、応援してください♪ (第5回・UDアドバイザー通信)
当会では「東京スカイツリータウン®施設UD(ユニバーサルデザイン)アドバイザー」をオープン時より務めさせていただいております。2016年度で4年目になり、とても光栄に感じています。
なんと、スカイツリーと補助犬法。実は、お誕生日が同じなんです♪
スカイツリーのオープンは、2012年5月22日!
身体障害者補助犬法の成立した日は、2002年5月22日!
なんと、身体障害者補助犬法10周年!という節目の年に、スカイツリーがオープンしたんです。何ともご縁を感じます。そしてそのご縁が、本当に多くの方々の手によって繋がり、2012年5月22日のオープニングセレモニーにて、補助犬ユーザー3人が並んでテープカット! 歴史的瞬間を迎えたのでした……!
この時にご協力いただいたメンバーが、実は10年前の補助犬法成立の瞬間に、国会議事堂内で全員賛成の可決の瞬間を迎えたメンバーでもありました。とは言え、犬たちは皆、代替わりしておりました。それも何だか時の流れを感じ、感慨深かったことを覚えています。。。
【スカイツリーオープンの日】!
当会が2011年12月から、スカイツリータウン施設ユニバーサルデザインアドバイザーを務めさせていただいている関係から、このスカイツリータウンオープニングセレモニーに、補助犬ユーザー3名が出席させていただけることとなりました!
しかも、テープカットという大役です!!!
あいにくの小雨の中ではありましたが、厳かにかつ盛大にセレモニーは催され、その様子を後ろから見ていた私は、あまりの歴史的瞬間に、感激のあまり号泣してしまいました……準備や打合せのため、何度もスカイツリーさんを訪問させていただき大変でしたし、何よりユーザーさんたちには、遠方からもお越しいただきご負担をかけておりましたので、無事に実施できた安堵感に、ただただ感動でした。
テープカットに並んだのは、まさに10年前の補助犬法成立の瞬間、国会議事堂内で立ち会った各補助犬ユーザーの会の代表の皆さんでした。涙が止まらなかったのを、今も鮮明に思い出します。
周囲の方々からは???だったかもしれませんが(笑)、その歴史的瞬間を作るお手伝いができ、無事に当日を迎えられ、立ち会えたことに、ただただ感謝の気持ちで、涙が止まりませんでした……。
そんなご縁から始まったスカイツリータウン施設UDアドバイザーのお仕事、あれから4年。引き続き、大切に取組んで参りたいと思っております。(第4回・UDアドバイザー通信)
当会では「東京スカイツリータウン®施設UD(ユニバーサルデザイン)アドバイザー」をオープン時より務めさせていただいております。2015年度で3年目になり、とても光栄に感じています。
オープニング前に、障害当事者の方々、20名ほどによる確認会を実施しましたが、今回はオープン後、初めてとなる確認会を実施しました。オープンしていることもあり、個人単位での確認会をプログラムしましたのでその様子をご紹介します。
聴導犬の大切なお仕事の1つに、聴覚障害があることの“目印”になることがあります。聴覚障害とは「見えない障害」なのです。 社会参加の上で、何がバリアになるかと考えますと、情報をいかに入手できるか?にかかってきます。音声情報は入ってこないわけですから、文字情報をいかに入手できるか?が最も重要です。
スカイツリーさんでは、素晴らしいコミュニケーション支援シートをご準備しておられます。
【バリアフリーガイド】ではなく、【ユニバーサルサービスガイド】であることに、非常に意味があります。
障害がある方を特別視するのではなく、「東京スカイツリーでは、小さなお子様をお連れのご家族や、ご高齢の方、障がいをお持ちの方、海外からいらっしゃった方など、誰もが展望台での体験をお楽しみいただけることをめざしてユニバーサルサービスガイドをご用意しております。」
( ユニバーサルサービスガイド(PDFファイル) より抜粋)
このコミュニケーション支援シートがあれば、最低限必要なコミュニケーションをとることができます。言語による意思疎通=コミュニケーションです。聴覚障害者は「コミュニケーション障害」とも言われていますので、このシートがあれば、聴覚障害者の中でも特に音声言語で話せない方にとっては、大変助かると思われます。その他にも活用は広がりそうですね。
しかし、問題は、このシートがあることをいかに知っていただくか?です。存在を知っていただき、入手していただいて初めて意味を持ちますので、今後はそれをどのように伝えていくか?が課題となりました。もちろん、筆談ボードを置いていただく他、手話を学んでいるスタッフの方も増えているようですので、様々な取り組みからさらに利用しやすい施設を目指していただく確認ができました♪
最後に、視覚障害者・肢体不自由者・聴覚障害者 各アドバイザーが揃ってのフィードバック会議を実施。話し始めるときりが無いくらいでしたが、双方にとって、非常に有意義で充実した内容となりました。今後、今回の確認会で出てきた問題に関して整理しながら、必要な作業を進めていくことになり、実際に取組んで頂いております。
地道なスパイラルアップ!=施設UDに関して最も大切!だと感じています。
(第3回・UDアドバイザー通信)
当会では「東京スカイツリータウン®施設UD(ユニバーサルデザイン)アドバイザー」をオープン時より務めさせていただいております。2015年度で3年目になり、とても光栄に感じています。
オープニング前に、障害当事者の方々、20名ほどによる確認会を実施しましたが、今回はオープン後、初めてとなる確認会を実施しました。オープンしていることもあり、個人単位での確認会をプログラムしましたのでその様子をご紹介します。
肢体不自由者の方が施設利用するにあたり影響することとして、一番みなさんの中でも思い当たるのは「段差」ではないでしょうか? ただ、最近の建物においては、段差に困る設計はほとんどなくなってきています。歩行困難者・高齢者のために段差を極力なくし、スロープを設置するなど対策がなされています。次のステップとしては、その「スロープの距離や角度がどうか?」という点を見ていかなければなりません。
そのほか、意外と皆さんが意識しないと思われるのは「駐車場」です。車椅子を使用されている方で、単独で車の運転をされる方は意外と多くいらっしゃいます。 単独の車椅子使用者は、車椅子から移乗して車椅子を折り畳んで後部座席に積み込む!という大変な作業が必要なので、車椅子マークの駐車場しか利用ができません! それを知っていてくだされば、車椅子マークの駐車場を健常者が利用するようなことは、起こらないのではないかと思います。
やはり、肢体不自由者の場合、ハード面の障害が最も影響してきます。外出先のトイレ事情は最重要ポイントです。 最近の障害者用トイレは、「みんなのトイレ」と呼ばれることも多く、詰め込みすぎ感があります。多目的に使えることは重要ですが、ここで大切となるのは「このトイレしか使えない人がいる」ということを、他の利用者が知っているかどうか?だと思います。駐車場問題と、まったく同じですね。
『ハードを変える』ということは、費用も時間もかかる場合が多く、非常に難しいです。となると、できることは『ソフト面』=人的対応でいかにカバーできるのか?が、何より大切になってきます。
その他、床材の材質については、すでに毛足の短い素材を選んでくださってはいますが、じゅうたん敷きは豪華ではあるものの、車椅子の操作性は非常に難しくなります。今後、張り替えなどされる際には、そのあたりも考慮いただきたい旨をお伝えしました。
あとは、いかに他のお客様と同様に(当たり前に)楽しめるか、に関して、スタッフの方々の対応や声かけなど等を確認してまいりました。
当会がスカイツリーさんから相談を受けましたのは、オープン半年前。すでに設計は確定し、工事も進んでいる中でした。多くの企業さんがそうですが、設計は設計のプロに頼むわけで、その通り出来上がったものを運用していくことになります。その時点からご相談を受けることがほとんどですが、そこからでは、ほぼハードを変えることは無理です。となると、いかにソフトで対応できるかどうか?にかかってきます。よって当会では、ハード面において「どんなふうに困る人がいるか」を知ってもらい、そんな時に「どのようなお手伝いができるか」の部分に力を入れてお伝えするようにしています。
スカイツリーさんは、スタッフの皆さんの対応が素晴らしいです。企業として、「すべての方が利用しやすい施設を目指そう!努力を続けよう!」という姿勢が感じられ、お手伝いさせていただきながら、非常に気持ちがよいです。(第2回・UDアドバイザー通信)
当会では「東京スカイツリータウン®施設UD(ユニバーサルデザイン)アドバイザー」をオープン時より務めさせていただいております。2015年度で3年目になり、とても光栄に感じています。
オープニング前に、障害当事者の方々、20名ほどによる確認会を実施しましたが、今回はオープン後、初めてとなる確認会を実施しました。オープンしていることもあり、個人単位での確認会をプログラムしましたのでその様子をご紹介します。
入り口付近のアクセスから確認です。点字ブロックの位置や触地図(フロアマップが凹凸で作られており、視覚障害者が手で触りながらマップを確認します。)、音声案内、チケットカウンターでの対応、各所に設置されている点字案内の確認、トイレの確認、そして何より大切なスタッフの皆様の声かけ対応等、様々な視点からの確認を行いました。この確認をする当事者の方は、様々な神経を張り巡らせなければならないので、大変だと、同行していて思いました。とはいえ、当事者でなくてはわからない視点がたくさん、やはり当事者の方のご協力なくしては、ありえません。
今回とても新しい発見が1つありました。
4階東京スカイツリーチケットカウンターでおつりをもらう時、「介助者ではなく、当事者に話しかける」や、「お札とコインを別々に説明して手渡しする」などという基本的なことは当然ではありますが、今回、展望台のチケットとレシートが同じ材質&形状だったので、区別がつかなかったのです。発券機から、入場チケットとレシートが同じ紙に印刷されて続けて出てくるので、渡された際に、触った感覚では区別がつきません。ですので、視覚障害者Nさんからは「チケットとレシートがわかるよう、スタッフの方には、レシートを折って渡すなどの配慮をしていただけると、助かります。」とアドバイスをいただけました。これは、実際にやってみないとわからないことでした。
施設の様々なところに貼ってある点字の確認もしていただきました。中には削り取れていた場所もあり、これこそ、点字が読める方でないとわからない部分ですので、せっかく貼ってあるのに読めない!ではもったいないです。定期的な現場確認は非常に重要だと感じました。
Nさんからは、日常生活の点字にまつわる様々なエピソードをお伺いできました。中には、故意にはがしたり削ったりする方がおられるそうです。それはとても残念な現実です・・・
確認を進めながら、展望台へ。もちろん、視覚障害者の方は見えないのですが、一緒に行った人と「こっちの方向には○○が見えるよ~」などと話すことで十分楽しむことができます。例えば、スカイツリーの模型を触ることで、どんな形のどの部分に自分がいるかを想像する事ができ、楽しい時間を過ごすことが可能です。 (第1回・UDアドバイザー通信)