■身体障害者補助犬法成立20周年記念誌 補助犬法20年のあゆみ 身体障害者補助犬を推進する議員の会 【イラスト】盲導犬、介助犬、聴導犬 ■目次 ・ご挨拶  身体障害者補助犬法成立20 周年を迎えて 身体障害者補助犬を推進する議員の会会長 尾辻 秀久(自民党)…1 ・幹事挨拶 田村 憲久(自民党)/古屋 範子(公明党)…2 篠原 孝(立憲民主党)/小西 洋之(立憲民主党)…3 高橋 千鶴子(共産党)/阿部 知子(立憲民主党)… 4 山本 幸三…5 ・祝辞 厚生労働大臣 後藤 茂之… 6 国家公安委員会委員長 二之湯 智…6 ・年表でみる「身体障害者補助犬法」成立20 年のあゆみ …8 ・補助犬法20 周年スペシャルメッセージ 【功労者】 清水 和行(全日本盲導犬使用者の会 元会長)…18 木村 佳友(日本介助犬使用者の会 会長)…19 松本 江理 (聴導犬使用者「タッチの会」〈現・日本聴導犬パートナーの会〉元代表) … 20 橋本 久美子(橋本龍太郎元総理夫人)… 21 中川 智子( 身体障害者補助犬を推進する議員の会 元事務局長/元宝塚市長) …22 高柳 友子( 一般社団法人日本身体障害者補助犬学会 理事/身体障害者補助犬を推進する議員の会 元共同事務局/愛知医科大学医学部 客員教授/医学博士)…23 スーザン・ダンカン…24 藤原 健(毎日新聞客員編集委員/琉球新報客員編集委員)… 25 高田 かおり(一般社団法人 大授 代表理事)… 26 【使用者の会】 全日本盲導犬使用者の会 会長 山本 誠…27 日本介助犬使用者の会 会長 木村 佳友…28 日本聴導犬パートナーの会 代表 安藤 美紀… 29 【企業】 元・毎日新聞阪神支局記者 山本 真也 … 30 株式会社京王プラザホテル 代表取締役社長 若林 克昌 … 31 日本航空株式会社 カスタマー・エクスペリエンス本部 CX 企画推進部 … 32 東京ソラマチ 館長 坂巻 尚 …33 【訓練事業者】 社会福祉法人 日本盲人社会福祉施設協議会 自立支援施設部会盲導犬委員会/認定NPO 法人 全国盲導犬施設連合会/公益財団法人 北海道盲導犬協会/公益財団法人 東日本盲導犬協会…34 公益財団法人 日本盲導犬協会/公益財団法人 アイメイト協会/社会福祉法人 日本ライトハウス/社会福祉法人 中部盲導犬協会 …35 公益財団法人 関西盲導犬協会/公益財団法人 日本補助犬協会/一般財団法人 いばらき盲導犬協会/社会福祉法人 横浜市リハビリテーション事業団 …36 社会福祉法人 日本聴導犬協会/社会福祉法人 日本介助犬福祉協会/公益社団法人 日本聴導犬推進協会/特定非営利活動法人 ウェルフェアポート湘南 … 37 社会福祉法人 日本介助犬協会/特定非営利活動法人 日本サポートドッグ協会/認定特定非営利活動法人 兵庫介助犬協会/一般社団法人 ドッグフォーライフジャパン …38 【ユーザーの会】 北海道盲導犬ユーザーの会/東日本盲導犬協会同窓会/日本盲導犬協会ユーザーの会/全日本聴導犬ユーザーの会/中部盲導犬協会ユーザーの会「あけびの会」/関西盲導犬協会ユーザーの会「つつじの会」…39 ・参考資料 身体障害者補助犬の実働頭数… 40 身体障害者補助犬実働頭数の推移/介助犬の平均寿命…41 海外からの補助犬ユーザー対応ガイドライン作成に至るまで ~東京パラリンピックと補助犬~… 42 ・身体障害者補助犬を推進する議員の会 名簿 … 43 ・Photo Message 補助犬とともに生きる。 …44 ・編集後記 …46 ■身体障害者補助犬法成立20 周年を迎えて 身体障害者補助犬を推進する議員の会会長 元厚生労働大臣 参議院議員(自民党) 尾辻 秀久 【プロフィール写真】 このたび、本年が2002 年の身体障害者補助犬法の成立・施行から 20 周年という大変記念すべき年をお迎えになられましたこと心よりお慶び申し上げます。 顧みますと、本法が制定される以前においては、約50 年の歴史をもつ盲導犬については、広く国民に知られていたところではありますが、介助犬、聴導犬については実働頭数がきわめて少なく、すでに道路交通法に規定されていた盲導犬と異なり法的位置づけが何らなく、周知もされていなかったことから、公共的施設や公共交通機関においても円滑な受け入れがされていないという状況でありました。 こうした状況を踏まえて、身体障害者補助犬を訓練する事業者及び使用者の各々の義務等を明確にし、良質な身体障害者補助犬の育成・普及を行うとともに、身体障害者補助犬を同伴する場合の施設等利用の円滑化を図り、身体障害者の自立と社会参加の促進に寄与することを目的として本法律が制定されたという経緯がございます。 この法律により、補助犬を同伴する身体障害者は、補助犬の行動管理・衛生管理をおこなうことと、周囲に補助犬であるということが解る表示の掲示が義務づけられました。また、施設側の受け入れ義務を設けるだけではなく、補助犬ユーザーと補助犬育成団体にも責任が求められるようになりました。 しかしながら、未だになくならない補助犬同伴拒否の問題や、まだまだ広がらない障害理解の現状を踏まえ、取り組んでいかなければならない諸課題が山積しています。 社会基盤に真の障害理解が定着しないことには、補助犬の理解も広がらないと考えていますので、私も「身体障害者補助犬を推進する議員の会」会長として、障害児者とその家族の皆様方が少しでも希望をもって過ごせるように諸問題解決に向けて取り組んで参ります。 皆様方のこれからの取り組みにご期待申し上げますとともに、この身体障害者補助犬法がもっと実り多きものとなりますよう祈念申し上げ、メッセージとさせていただきます。 ■ご挨拶 〇身体障害者補助犬を推進する議員の会 幹事長 衆議院議員(自民党) 田村 憲久 【プロフィール写真】 今年で身体障害者補助犬法の成立・施行から20 周年を迎えるにあたり、ご関係者、団体の皆様には、日頃から弛まぬ努力をもって補助犬の育成、普及促進、社会的認識の向上に取り組まれておられ、深い敬意と感謝を申し上げます。 大きな節目である20 年目に、このような記念誌を発行することは、今までの取り組みを記録することであり、とても意義のあることと存じます。誰もが生きがいをもって働ける共生社会の実現には、障害をもたれる方の一層の自立のサポート、その結果、安心して誰もが社会参加頂くこととなり、補助犬は、人と人、人と社会のかけ渡しとして不可欠な存在です。法律により補助犬を伴った交通機関、諸施設の使用は認められるようにはなりましたが、20 年経った今でも受入れ拒否の事例が後を絶ちません。補助犬ユーザーと補助犬が安心して活躍することができる社会を作るために、我々も啓蒙活動に更に努力して参ります。 今後も『身体障害者補助犬を推進する議員の会』の幹事長として、関係の皆様と共に、補助犬の認知度向上に努め、よりよい地域共生社会の構築を目指します。 〇身体障害者補助犬を推進する議員の会 幹事 衆議院議員(公明党) 古屋 範子 【プロフィール写真】  本年、補助犬を法的に位置付けた「身体障害者補助犬法」の成立から20 年を迎えます。 この法律は、1998 年公明党の大野由利子衆院議員(当時)が、盲導犬に比べ歴史が浅く認知度が低い介助犬、聴導犬について、公的認定と普及促進をめざして政府に質問主意書を提出したことが契機となり、超党派の国会議員による「介助犬を推進する議員の会」が設立され、身体障害者補助犬法として結実しました。補助犬法は、補助犬の社会的地位を改善させたものとして非常に大きい意義があります。 私は、補助犬の社会的認知・普及に、議員の会の一員として力を尽くしてまいりました。しかし、まだ社会の理解が不足していることは否めません。財政支援をはじめ、補助犬の認知度を高めるためには、政府や自治体、関係団体が一丸となり、さらなる理解を広げる啓発活動が必要です。補助犬の数が減少している原因の分析も必要だと考えます。 補助犬は、パートナーにとって安全に生活していくことをサポートしてくれるだけではなく、大きな心の支えになっている存在であると感じます。補助犬を広く受け入れられる社会は、お互いを思いやれる社会につながります。バリアフリー社会をめざし、今後も補助犬の普及・育成に全力を挙げてまいります。 〇身体障害者補助犬を推進する議員の会 幹事 衆議院議員(立憲民主党) 篠原 孝 【プロフィール写真】 身体障害者補助犬法が成立し、20 年を迎えました。当時この法律の成立に携わられた多くの 諸先輩方のご尽力に頭が下がります。私が育った長野県の農村で、「テス」という名の犬を飼っていました。今と違って放し飼いでした。畑に はいつも一緒に行き、そこら中に小便をする縄 張り意識の強い本当に利口な犬で、鳥獣から守ってくれていました。 空港で活躍する検疫探知犬は、日本に豚熱や 口蹄疫の侵入を防ぐべく、その嗅覚で大活躍をしてくれています。犬は本当に優しい利口な、人間のパートナーだと思います。 現在、千頭前後の補助犬がおり、もっと見かけても良いはずなのに、飲食店などでは全く見 かけたことがありません。また、たまに見かけても周囲から好奇の目で見られています。ペットとして犬の散歩はよく見かけますが、欧米諸 国と比べて、公共の場所で補助犬を見かけることがまだまだ少ないのではないかと思います。 補助犬法20 周年を期に、補助犬に対する多くの人たちの認知が広がるよう私達国会議員も再度尽力したいと思います。 〇身体障害者補助犬を推進する議員の会 幹事 参議院議員(立憲民主党) 小西 洋之 【プロフィール写真】 身体障害者補助犬法成立・施行20 周年を迎え、法律の制定、そして制定後における関係者の皆様方の活動に敬意を表させていただきます。 補助犬を必要とされている方、また関係者の方々にとって、補助犬の存在はなくてはならないものとなっております。愛情を注いでいる補犬は活動の補助だけにとどまらず、精神的な安定にも効果があるといわれております。同法の成立で様々な施設・機関での補助犬の同伴が認められましたが、未だに拒否されるケースが見られております。法律を周知徹底させていくとともに、拒否されることがなくなる社会づくりを目指し、引き続き活動して参ります。 私が政治を志したきっかけは21 年間寝たきりの父親を介護した経験にあります。障害をもった方にとって、日常生活が少しでも快適になり、行動範囲が広がっていくことは重要なことであると認識しております。当事者の方々から、現状をお聞かせいただきながら、引き続き実効性のある計画策定と取り組みに尽力して参ります。 最後に、議員の会の活動を今まで以上に活発・充実させ、補助犬を必要とされる皆様にとって暮らしやすい社会を作っていくことをお約束してご挨拶とさせていただきます。 〇身体障害者補助犬を推進する議員の会 幹事 衆議院議員(共産党) 高橋 千鶴子 【プロフィール写真】 補助犬法20 周年、おめでとうございます。私は、議連の皆さま、団体の皆さまの熱心なとりくみにひたすら圧倒され、後ろをついてきただけにすぎません。ですが、ユーザーのかけがえのないパートナーとして、目となり耳となり、手足となって忠実に活躍する補助犬たち、そしてその補助犬の訓練と教育に注力してきた皆さんに心から敬意を表します。まだまだ補助犬法について理解が広がっているとはいいがたく、心ない差別や入店拒否などに心を痛めているユーザーはたくさんいるかと思いますし、どんどん増えていくと思っていた補助犬がむしろ減っていることも心配しています。 補助犬ロボットやAIなど、便利な社会になりましたが、任務に忠実ながらも、あくびをしたり嬉しそうにする姿は、ロボットにはない大事なぬくもりだと思います。今後も人々の補助犬法に対する理解が広がり、安心して補助犬と暮らせる社会、必要な人が補助犬と出会える社会をつくっていくために、議連の皆さまと頑張ってまいります。 〇身体障害者補助犬を推進する議員の会 事務局長 衆議院議員(立憲民主党) 阿部 知子 【プロフィール写真】 身体障害者補助犬法の成立とその後の議連の20 年は、私の議員活動とほぼ重なります。初代会長には橋本元総理、事務局長は後に宝塚市長を務められた中川智子さん。2000 年当選の私は元々障害児の医療に関わっていたことから、この法律が障害者の社会参加のバリアフリーを謳ったものとして先駆的と思いました。縁あって2003 年から事務局長を引き受け、尾辻現会長に至るまで、誠実で真摯な歴代会長と幹事メンバーに支えられて、様々な仕事をしてきました。 成立5 年後の改正は就労の場を広げ、昨今のホームの転落事故や救急搬送での同乗拒否事案まで、命に関わる重大事にも議連として関連省庁に改善を求めてきました。何より法成立の原動力であったユーザーの木村さん(介助犬)、清水さん(盲導犬)、松本さん(聴導犬)らをはじめ、介助犬育成の最前線に立つ高柳友子医師や、共同事務局の日本補助犬情報センターのご協力のもとに、この20 年を迎えられたことに心より感謝します。中川さんから引き継いだ担当秘書も、先日衆議院より永年勤続20 年の表彰を受けました。 課題はまだまだ山積ですが、みんなで取り組めばきっと前進する、そう確信して次の10 年?を目指します。 〇身体障害者補助犬を推進する議員の会 元幹事 山本 幸三 【プロフィール写真】 ある日突然、高柳さんという女性が会館事務所に飛び込んできた。聞くと「自分は医者で、父を助けて補助犬問題に取り組んでいる。何とか国の制度として確立したいので補助犬推進法を作りたい。」とおっしゃる。「では、誰に相談しているの。」と尋ねると、「自民党では、まだ誰もいない。」とのこと。「それでは、法案は作れないよ。」と申し上げると、「そこを何とかして欲しい。」と食い下がってくる。余りの熱心さにほだされて、「では、協力してあげましょう。」ということになった。 法案を成立させるためには数々の壁があったので、議連会長にはそういう大きな障壁をも抑えられる大物が必要だということで白羽の矢が立ったのが橋本龍太郎元総理だった。 橋本元総理の下にお願いに上がると、大の犬好きとのことで快諾して頂いた。橋本元総理は、単に肩書きだけではなくて、先頭に立って訓練施設の視察を行うなど精力的に法案成立に向けて尽力してくださった。 その後、多くの超党派の皆さんの協力を得て、ようやく平成14 年5 月に法案成立の運びとなった。  今は、尾辻会長の下で、着実に実績を積み上げつつある。少しでも多くの障害者が補助犬の助けを借りて、より豊かな生活を送ることができるよう心から願っている次第だ。 ■祝辞 〇厚生労働大臣 後藤 茂之 【プロフィール写真】 身体障害者補助犬法成立20 年に寄せて 身体障害者補助犬法の成立から20 年という節目の年に、身体障害者補助犬を推進する議員の会として記念誌を発行されることに対し、心よりお慶び申し上げます。 良質な身体障害者補助犬の育成と普及を目指し、関係議員をはじめとする関係者の皆様のご尽力によって、議員立法による身体障害者補助犬法が平成14 年に成立してから20 年が経過しました。 この間、身体障害者補助犬は着実に社会に浸透してきており、現在では全国で盲導犬、介助犬、聴導犬あわせて約1,000 頭の身体障害者補助犬が、障害のある方の自立と社会参加のために活躍しています。 身体障害者補助犬の普及と発展に向けた、身体障害者補助犬を推進する議員の会のこれまでの取り組みは、障害のある方に寄り添い、生活の質の向上や社会参加を促進させるものであり、改めて敬意を表します。 厚生労働省といたしましても、引き続き、関係者の皆様のご意見をお聞きしながら、身体障 害者補助犬の普及啓発を進めるとともに、障害のある方々が暮らしやすい社会となるよう、障害福祉の一層の推進に努め、その自立と社会参加をさらに進めてまいります。 結びに、身体障害者補助犬を推進する議員の会をはじめ、身体障害者補助犬の推進に関係する多くの皆様の御健勝と御活躍をお祈りして、私からのお祝いの言葉といたします。 〇国家公安委員会委員長 二之湯 智 【プロフィール写真】 身体障害者補助犬法20 周年を祝して この度、身体障害者補助犬法の成立・施行から20 周年という大きな節目を迎えられました ことに対しまして心からお祝いを申し上げます。また、この間、身体障害者補助犬を推進する議員の会におかれましても、補助犬の育成や活用促進に熱心に取り組んでこられたことに対しまして深く敬意を表する次第であります。 道路交通法に盲導犬に関する規定が設けられたのは昭和53 年のことです。それから今日まで40 年以上が経過しましたが、盲導犬を使用する視覚障害者の方々や各盲導犬訓練法人等の皆様の御努力、また尾辻会長をはじめとする貴会所属の皆様方の御尽力によりまして、盲導犬は、目の不自由な方々の社会参加の促進に大きく貢献するとともに、道路を通行する際の安全の確保にも大きく寄与してきたものと考えている次第であります。 警察といたしましても、引き続き、関係機関と連携し、視覚障害者の方が通行されている際にドライバーが遵守すべき事項に関する交通安全教育の充実、音響信号機やエスコートゾーンの整備等、視覚障害者の方々が道路を安全に通行することができる環境づくりを進めてまいります。今後とも、貴会の御指導をお願い申し上げます。 末筆ではございますが、貴会の益々の御発展、補助犬に携わる皆様の御健勝と御多幸を祈念申し上げ、私のお祝いの言葉といたします。 ■章扉:年表で見る「身体障害者補助犬法」成立20年のあゆみ―身体障害者補助犬を推進する議員の会 活動報告― ・1998年5月 衆議院議員大野由利子氏が国会に「介助犬の公的認知」についての質問主意書提出、「法的認知は困難だが調査研究の助成は検討する」旨の答弁あり。 ・6月 厚生科学研究障害保健福祉総合研究事業開始。介助犬の基礎的調査研究(班長:髙栁哲也奈良県立医科大学神経内科教授<現名誉教授>日本介助犬アカデミー理事長) ・1999年2月2日 介助犬への理解を求め、介助犬シンシアと来日中の介助犬リンカーンが初の国会傍聴。【写真:介助犬シンシアの国会議事堂訪問の様子】 ・3月 兵庫県議会が「介助犬の認知と普及に関する意見書」を内閣総理大臣、厚生大臣他八大臣らに提出。 ・7月1日 介助犬を推進する議員の会 設立総会。 ・8月3日 勉強会。(海外における介助犬の現状、わが国の実態と課題、厚生省担当者との意見交換) ・8月11日 盲導犬に関する省庁ヒアリング。(運輸省・警察庁・建設省) ・11月11日 役員・幹事会、厚生省に「介助犬の公的認知に関する検討会」設置を要望する事を発案。 ・12月16日 厚生大臣へ「介助犬の公的認知に関する検討会設置等についての要望書」を日本介助犬アカデミーと連名で提出。日本介助犬アカデミー理事でもある介助犬使用者木村佳友氏・介助犬シンシアも同行。 ・2000年4月14日 議員の会と日本介助犬アカデミーが介助犬の定義・基準を発表。 ・4月17日 厚生委員会で中川智子議員が介助犬に関する検討会を5 月中に立ち上げるとの答弁を引き出す。(6 月21 日に第1回検討会開催) ・10月24日 総会開催。基調講演「介助犬の法整備における課題」。新会員106 名に増員。米国介助犬使用者スーザン・ダンカン女史講演。 ・2001年3 月29 日 介助犬法制化のためのワーキングチーム発足。 ・4 月18 日 勉強会。「介助犬に関する海外の法整備について」 ・4 月26 日 自治体における介助犬施策について、京都府、京都市、兵庫県からヒアリング。 ・5 月16 日 総会において要綱案提出、承認。介助犬・盲導犬・聴導犬使用者からヒアリング。 ・5 月 30 日 介助犬・盲導犬・聴導犬育成団体よりヒアリング。 ・6 月 21 日 全日本盲導犬使用者の会より陳情。民間施設への受け入れ義務化と罰則規定についての要望。 ・6 月 29 日 ㈳日本盲人社会福祉施設協議会リハビリテーション部会盲導犬委員会に要綱案提示。 ・8 月 7 日 厚生労働省より「介助犬に関する検討会」の最終報告ヒアリング。(役員・幹事・ワーキングチーム合同) ・9 月 10 日 身体障害者補助犬法案要綱を関係省庁・各団体に提示し調整。 ・10 月 4 日 関係省庁への意見調整・説明会。(厚生労働省・法務省・国土交通省・警察庁他) ・11 月12 日 介助犬使用者、盲導犬使用者から陳情。民間の受け入れ義務化についての要望を受ける。 ・11 月15 日 身体障害者補助犬法案、身体障害者補助犬の育成及びこれを使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化のための障害者基本法等の一部を改正する法律案最終承認。 ・11 月20 日 総会において最終案承認。法案提出に向け会長を田中眞紀子外務大臣(当時)から橋本龍太郎議員に交代。 ・12 月 5 日 衆議院へ提出。(提出者 熊代昭彦議員他7名 賛同者91 名) ・12 月 6 日 厚生労働委員会へ付託され、継続審議となる。 ・2002年4 月3 日 厚生労働委員会にて提案理由説明。 ・4 月 5 日 厚生労働委員会にて質疑。 ・4 月 10 日 厚生労働委員会にて採決、付帯決議を付し全党一致で可決。 ・4 月 11 日 衆議院本会議で可決。参議院へ送付。 ・4 月 26 日 参議院厚生労働委員会に付託。 ・5 月 21 日 参議院厚生労働委員会で審議・採決。全会一致で可決。 ・5 月 22 日 参議院本会議において全会一致で可決、成立。成立記者会見及び補助犬使用者との懇親会。【写真:盲導犬、介助犬ユーザーが会館前の道路を歩く】【写真:記者会見の様子】 ・6 月 7 日 総会開催。講演「身体障害者補助犬に期待すること」 スーザン・ダンカン女史。【写真:スーザンと議員の先生(当時)】 ・9 月19 日 第1 回視察。横浜市総合リハビリテーションセンター、日本盲導犬協会神奈川訓練センター。 ・2003年4 月16 日 全国自治体に対し、補助犬事業についての説明会および意見交換会開催。(21 都道府県8 政令市より48 名出席) ・2005年1 月30 日 身体障害者補助犬法改正対策使用者団体連絡協議会(以下、補改使連)設立記者会見。(→ P.14) ・2 月4 日 補改使連より厚労省へ法改正の要望書提出。 ・2 月25 日 補改使連より補助犬議連へ法改正の要望書提出。 ・5 月13 日 総会・法改正についての意見交換会開催。補助犬事業についての自治体アンケート調査報告、自治体担当者からの現状報告 他 ・9 月8 日 厚生労働省へ補助犬法改正に向けての要望書提出。 ・2006年2 月1 日 役員・幹事会。新会長に津島雄二議員。 ・3 月16 日 講演「法改正への期待と世界の補助犬法」 竹前栄治氏(盲導犬使用者・東京経済大学特任教授・補改使連会長)補助犬使用者からヒアリング 他 ・4 月27 日 補改使連より補助犬議連へ法改正の要望書提出。 ・11 月14 日 総会にて、補改使連より補助犬法改正の署名(約10 万名)提出。 ・2007年5 月24 日 総会。改正補助犬法案最終承認。補改使連よりヒアリング。 ・11 月2 日 「身体障害者補助犬法の一部を改正する法律案」衆議院本会議において全会一致で可決。 ・11 月28 日 「身体障害者補助犬法の一部を改正する法律案」参議院本会議にて全会一致で可決、成立。 ・2008年4 月1 日 身体障害者補助犬法の一部を改正する法律施行。1.補助犬使用者や受入れ側施設からのトラブルに対応する相談窓口が、各都道府県、政令指定都市、中核市に設置。(2008 年4 月1 日施行)2.一定規模以上の民間企業では、勤務している身体障害者の補助犬使用の受入が義務化。(2008 年10 月1 日施行) ・2009年11月24日 10月2 日~11月23 日に行われた「全日本盲導犬使用者の会15 周年記念東海道五十三次盲導犬使用者ウォークリレー」(京都→日本橋)のゴールの報告として、全日本盲導犬使用者の会代表メンバーが、補助犬議連、警察庁と厚生労働省表敬訪問の後、細川律夫当時厚生労働副大臣を表敬訪問。議連幹事とともに会長就任のお願いをする。 【写真:日本橋のゴールで盲導犬ユーザーや関係者が集合している】 ・2011年12月1日 総会。新会長に細川律夫議員。勉強会開催。「補助犬による社会参加支援~リハビリテーションの立場から~」伊藤利之氏(日本リハビリテーション医学会元常任理事)、「使用者の立場から」市角敏子氏(全日本盲導犬使用者の会会長) ・2012年2 月1 日 【身体障害者補助犬法10 周年記念事業】に関するアンケート実施。 ・3 月13 日 第2 回視察。名古屋市総合リハビリテーションセンター福祉用具プラザ、中部盲導犬協会、日本介助犬協会、ゴジカラ村 他 ・4 月23 日 補助犬使用者・訓練事業者からのヒアリング実施。 ・5 月22 日 補助犬使用者とともに、総理大臣表敬訪問。身体障害者補助犬法10 周年記念シンポジウム開催。第1 部「 身体障害者補助犬法の10 年の歩みとこれから…」、第2部「医療機関での現状と今後の取り組み」 【写真:シンポジウム会場で盲導犬、介助犬、聴導犬ユーザーと議連メンバーの記念撮影】 ・2013年6 月5 日 総会。新会長に尾辻秀久議員。勉強会開催。「補助犬法とは何か」盲導犬・介助犬・聴導犬使用者、「医療機関における補助犬受入マニュアル」(案) 厚生労 働省 ・10 月22 日 幹事会、総会開催。・5月22日を「ほじょ犬の日」とし、PR に努める。・医療との連携を深める=リハビリ施設や補助犬の訓練施設などの視察・2020 年の東京パラリンピックに向けた取り組みの提案等。【新聞記事:5月22日は「ほじょ犬の日」(福祉新聞/2013年10月28日号)】 ・2014年4 月7 日 第3回視察。1.横浜市総合リハビリテーションセンター、2.(財)日本盲導犬協会神奈川訓練センター ・5 月15 日 勉強会開催。「2020 年東京オリンピック・パラリンピックに向けて」~ 身体障害者補助犬法の現状と課題 ~高柳友子氏(医学博士・日本身体障害者補助犬学会 理事) ・5 月22 日安倍総理表敬訪問。身体障害者補助犬法成立12 周年【ほじょ犬の日】啓発シンポジウム開催。「2020 年東京オリンピック・パラリンピックと補助犬」~補助犬達とともに作るおもてなしの社会~◇ パラリンピアン(水泳金メダリスト) 河合 純一氏(日本パラリンピアンズ協会会長、バルセロナ・アトランタ・シドニー・アテネ・北京・ロンドン大会連続出場)◇ 日本パラリンピック委員会事務局長 中森 邦男氏 ・9 月10 日 勉強会開催。盲導犬傷害事件についてのヒアリング、補助犬使用者団体16 団体、厚労省、環境省、法務省、警察庁 【写真:安倍首相(当時)の表敬訪問時の様子】 ・11 月12 日 海外「補助犬」受け入れに関するヒアリング。1. 身体障害者補助犬学会 第7回学術大会 開催報告、 第7回学術大会大会長 高柳友子氏 2. 海外「補助犬」受け入れの現状について(ヒアリング)、厚生労働省、農水省、国土交通省、環境省 ・2015年4 月20日 第4回視察 京王プラザホテルユニバーサルサービス体験視察。1. 補助犬3種 デモンストレーション、2. ホテル内ユニバーサルサービス見学・ユニバーサル対応婚礼(模擬挙式)・ユニバーサルルーム(客室)   ・5 月22日 第2 回【ほじょ犬の日】啓発シンポジウム開催。第1部「障害者差別解消法と補助犬」~合理的配慮を考える~講師:竹下 義樹氏( 日本障害フォーラム副代表/社会福祉法人 日本盲人会連合 会長)、第2部「動物福祉の世界基準」~ IAHAIO WHITE PAPER ~講師:山口千津子氏(日本動物福祉協会 獣医調査員)、山﨑恵子氏(ペット研究会「互」主宰) ・10 月27日 第5回視察。羽田空港検疫所・国際線ターミナルUD 状況視察。1.動物検疫所羽田空港支所、2.羽田空港国際線ターミナル、3.「公共交通機関関係者向け補助犬受け入れセミナー」参加(日本補助犬学会主催 第8回学術大会プレイベント) ・2016年4 月26 日 総会開催。1.熊本・大分地震災害における補助犬ユーザー状況報告    NPO 法人 日本補助犬情報センター専務理事 橋爪智子氏、2.補助犬ユーザー団体より要請「 2020年に向けた諸施設・交通バリアフリーについて」全日本盲導犬使用者の会 郡司ななえ氏&盲導犬ウラン、日本介助犬使用者の会 西澤陽一郎氏&介助犬ラッキー、佐藤京子氏&介助犬ニコル、聴導犬ユーザー「タッチの会」東彩氏&聴導犬あみのすけ、3.厚生労働省による訓練事業者実態調査ヒアリング ・5 月20 日 第3回【ほじょ犬の日】啓発シンポジウム開催。「防災と補助犬」~障害インクルーシブ防災から学ぶ~藤井克徳氏(日本障害フォーラム(JDF)幹事会議長)、「ほじょ犬同行避難について」~防災の観点から~山口千津子氏(日本動物福祉協会特別顧問・日本補助犬情報センター理事) ・8 月29 日 視覚障害者駅ホーム転落事故に関するヒアリング。1,国土交通省 2,厚生労働省 3,社会福祉法人 日本盲人会連合 5,全日本盲導犬使用者の会 ・11 月29 日 障害者の接遇マナーに関する意見交換会。1,公益財団法人 交通エコモ財団 2,公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 3,一般社団法人 ユニバーサルマナー協会 4,株式会社京王プラザホテル 5,全日本盲導犬使用者の会他 厚生労働省、国土交通省他 ・12月8日 第2 回視覚障害者駅ホーム転落事故に関するヒアリング。1「駅ホームにおける安全性向上のための検討会」中間報告/国土交通省、2「身体障害者補助犬法の普及啓発の観点から」/厚生労働省、3「補助犬当事者団体の現状と課題」/全日本盲導犬使用者の会 ・2017年5月22日 第4回【ほじょ犬の日】啓発シンポジウム開催(補助犬法成立15年 記念)。「 障害者理解の最前線 ~障害の社会モデルを知る~」 星加良司氏( 東京大学大学院教育学研究科付属バリアフリー教育開発研究センター専任講師)、パネルディスカッション「補助犬同伴の社会参加について ~相互理解の観点から~」パネリスト:補助犬ユーザーのみなさん【新聞記事:「まだ啓発必要」制定15年、議連がシンポ(福祉新聞/2017年5月29日号)】 ・2018年5月22日 第5回【ほじょ犬の日】啓発シンポジウム開催。第1 部 全日本盲導犬使用者の会より「ありがとう運動」報告。「海外の補助犬ユーザーの受け入れに関する現状と課題」・高柳友子  日本身体障害者補助犬学会理事(補助事業検討会座長)・公益財団法人 日本盲導犬協会・社会福祉法人 日本聴導犬協会・全日本盲導犬使用者の会・日本介助犬使用者の会・日本聴導犬パートナーの会・厚生労働省。 第2 部 基調講演 川内美彦氏(東洋大学人間環境デザイン学科教授)「改正バリアフリー法から見えてくる日本のレガシー」【新聞記事:「ありがとう」を報告 盲導犬使用者が議連に(福祉新聞/2018年6月4日号)】 ・12月6日 総会開催。1.「海外からの補助犬ユーザー受け入れに関して」厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 企画課、2.「農林水産省動物検疫の取り組みについて」農林水産省 動物検疫所(本所)、3.「外国からの「サービスドッグ」同伴受け入れにおける現状と課題」厚労省「国内外の身体障害者補助犬使用者への対応に関する調査研究」検討委員会座長 高柳友子氏 ・2019年5月23日 第6回【ほじょ犬の日】啓発シンポジウム 開催。第1 部 基調講演   「2020 に向けて何が変わるのか?~ 日本の障害者を取り巻く現状と課題から見えてくるもの~」 石川准氏 (国連障害者権利委員会副委員長/静岡県立大学国際関係学部教授) 第2 部 講演「 補助犬ユーザーと防災 ~様々な事例紹介やワークを通して~」北村弥生氏(国立身体障害者リハビリテーションセンター) 【新聞記事:補助犬法は先進的 石川教授が講演(福祉新聞/2019年6月10日号)】 ・2020年2月19日 役員・幹事会開催。国交省ヒアリング。「視覚障害者転落事故防止に端を発したホームドア設置の現状」①エスカレーター片側歩行問題について ②タクシー乗車拒否問題について(含む、福祉タクシー利用券について)。厚労省ヒアリング ①身体障害者補助犬の訓練及び認定等のあり方検討会 ②厚生労働科学研究費補助金(2019 年度)障害者政策総合研究事業「身体障害者補助犬の質の確保と受け入れを促進するための研究」  ③ 2019(平成 31)年度障害者総合福祉推進事業「身体障害者補助犬の普及啓発のあり方に関する調査研究」 ・2021年2月19日 総会開催。国交省ヒアリング「視覚障害者のホーム転落事故に関する再発防止への取り組み」、厚労省ヒアリング「視覚障害者のリハビリテーション・歩行訓練の現状と課題」 ・5月22日 第7回【ほじょ犬の日】啓発シンポジウム開催(youtube にて動画公開)。「補助犬とどこへでもいける社会にするために~補助犬法と障害者差別解消法の観点から~」講師:大胡田誠(全盲弁護士) 【写真:動画のサムネイル】 ・2022年2月22日 総会開催。厚生労働省ヒアリング「補助犬法」の現状と課題について   盲導犬・聴導犬・介助犬ユーザーのお話と「お仕事」デモンストレーション、盲導犬ユーザー塚越豊氏&盲導犬ピッケル、聴導犬ユーザー松本江理氏&聴導犬チャンプ、介助犬(PR 犬)、法成立20 周年の取り組みについて ■【身体障害者補助犬法改正対策使用者団体連絡協議会】~ 2007 年補助犬法改正に向けた活動報告~ 2002 年5 月、「身体障害者補助犬法」が成立しました。この法律は、補助犬使用者のアクセスを国として初めて保障したもので、盲導犬・聴導犬・介助犬使用者にとって悲願の法律でした。補助犬法をきっかけに、盲導犬・聴導犬・介助犬の使用者の交流も深まりました。2002 年7 月には、盲導犬・聴導犬・介助犬それぞれのユーザーの声かけで、障害を越えた、「補助犬とともに生きる」人たちが日本で初めて自主的に集まり交流会が開かれました。 その後も、交流を重ねていくうちに、いつしか話題は補助犬法改正に向けてのそれぞれの思いに……。国民の皆様のご理解の中、補助犬使用者が補助犬とともに自立と社会参加を実現するために、この法律がより実効性の高いものに改正されるよう、個々に訴えるのではなく、法律の当事者として、補助犬使用者の声をまとめて改正に対する訴えをするため、2005(平成17)年1 月に、「身体障害者補助犬法改正対策使用者団体連絡協議会(補改使連)を発足 しました。 補助犬法の改正を目指して活動を続け、2007 年11 月2 日に「身体障害者補助犬法の一部を改正する法律案」が衆議院・本会議において、全会一致で可決。その後、11 月28 日の参議院・本会議において、全会一致で可決され成立いたしました。法案の可決・成立の瞬間を傍聴できたことを非常にうれしく感じています。 〇身体障害者補助犬法改正対策使用者団体連絡協議会・概要 1.名 称:身体障害者補助犬法改正対策使用者団体連絡協議会(略称:補改使連) 2.目 的: 身体障害者補助犬法の改正に向けて、盲導犬・聴導犬・介助犬使用者の立場から現行の身体障害者補助犬法の課題を明らかにするとともに、盲導犬・聴導犬・介助犬使用者の意見を集約・調整し関係諸機関に対して働きかけて行くことで、身体障害者補助犬法の主旨・目的に基づいてその実効性を高め、もって身体障害者の自立と社会参加を実現することを目的とする 3.構成員:盲導犬・聴導犬・介助犬使用者の当事者団体の代表者をもって組織する。 4.設 立:2005 年1月30 日 5.役 員(2005年当時):会長 竹前 栄治 & 盲導犬エディ(全日本盲導犬使用者の会 前副会長)、副会長 木村 佳友 & 介助犬エルモ(日本介助犬使用者の会 会長)、       副会長 松本江理 & 聴導犬ブランカ(聴導犬使用者「タッチの会」会長)、副会長 山井  修 & 盲導犬カリン(全日本盲導犬使用者の会 事務局長)、事務局長 山口亜紀彦 & 介助犬オリーブ(日本介助犬使用者の会 事務局長) 〇法改正までの活動 ・2005年1月30日 身体障害者補助犬法改正対策使用者団体連絡協議会(補改使連) 発足。第1回会合(初顔合わせ)。「補改使連」設立記者会見。「法改正に関する要望事項・今後の活動方針」発表。 ・2 月4日 「厚生労働省」へ要望書提出。 ・2 月25 日 「身体障害者補助犬を推進する議員の会」(以下、補助犬議連)へ 要望書提出。【写真:橋本補助犬議連会長、阿部事務局長へ要望書を提出】【写真:補改使連のメンバーが並んでいる様子】 ・5 月13 日 「補助犬議連」主催の意見交換会出席 【写真:意見交換会の様子】 ・4 月中旬~ 補助犬同伴拒否についてのアンケート実施・結果発表。 ・7 月20 日 法律の全面施行から1年以上たった時期に、補助犬同伴での受け入れ拒否に的をしぼったアンケートを行った。実施方法:アンケートをメールまたはFAX にて送信。対象者:全日本盲導犬使用者の会・聴導犬使用者タッチの会・日本介助犬使用者の会に所属している使用者。 ・7 月30 日 第2回会合ならびに「全国盲導犬施設連合会」との意見交換。 ・9 月 8 日 厚生労働省へ補助犬法改正に向けての要望書提出。 ・2006年3 月16日 「補助犬議連」総会に出席。竹前栄治会長による「法改正への期待と世界の補助犬法」の講演。補助犬使用者ヒアリングにおいて各使用者から発表。補助犬同伴拒否に関するアンケート結果を報告し、補助犬法施行後も、補助犬の同伴拒否が後を絶たず、補助犬法の認知が進んでいない現状を説明し、6項目の要望を訴えた。 ・4 月27 日 「補助犬議連」へ要望書提出。 ・8 月31 日 厚生労働省(職業安定局)へ要望。 ・9 月21 日 「補助犬議連」へ再度の要望。 ・11 月 9 日 「補助犬議連」へ再度の要望 【写真:阿部事務局長へ要望書を再度提出】 ・11 月14 日 「厚生労働省」「国土交通省」と意見交換。補助犬の受入が努力義務に留まっている「補助犬使用者の居住している住宅」「補助犬使用者が通っている職場・学校」の民間施設について、受入の義務化を要望。 ・2007年5月24 日 「補助犬議連」津島会長に面会。「補助犬議連」総会に出席。補助犬法・改正法案を作成。改正の概要は、1.補助犬のトラブルに関する相談窓口の設置 2.民間の事業所(職場)の補助犬受入義務化(但し、障害者の法定雇用者数が1名以上となる「従業員56 名以上の事業所に限る。それ以外は、今までどおり努力義務) 3.民間の住居の受入義務化は見送る。ただし、住宅セーフティネット法案により、受け入れが進むように対応する。総会において、改正法案は承認され、今国会中の成立を目指して準備することに。 ・6 月25 日 「参議院厚生労働委員会」へ要望。 ・6 月28 日 「補助犬議連」及び「参議院厚生労働委員会」へ要望。 ・11 月 2 日 「身体障害者補助犬法の一部を改正する法律案」衆議院本会議において全会一致で可決。 ・11 月28 日 「 身体障害者補助犬法の一部を改正する法律案」参議院本会議にて全会一致で可決、成立。【写真:改正補助犬法成立。挨拶をする補改使連の竹前会長】【写真:改正補助犬法成立記者会見の様子】【写真:改正補助犬法成立!参議院別館前にて】 ・2008年4月1日 身体障害者補助犬法の一部を改正する法律施行。 ■「身体障害者補助犬を推進する議員の会」開催シンポジウム 〇第1回 2014年5月22日(木) テーマ:「2020 東京オリンピック・パラリンピックと補助犬 ~補助犬達とともに作るおもてなしの社会~」シンポジスト:河合純一(パラリンピアン/水泳金メダリスト、日本パラリンピアンズ協会会長、バルセロナ・アトランタ・シドニー・アテネ・北京・ロンドン)、中森邦男(日本パラリンピック委員会事務局長)【ポスター画像】 〇第2回 2015年5月22日(金) テーマ①:「障害者差別解消法と補助犬~合理的配慮を考える~」講師:竹下 義樹(日本障害フォーラム副代表、社会福祉法人 日本盲人会連合 会長)、テーマ②:「動物福祉の世界基準~IAHAIO WHITE PAPER~」講師:山口千津子(JAWS獣医調査員、NPO法人日本介助犬アカデミー理事)、山﨑恵子(ペット研究会「互」主宰、NPO法人日本介助犬アカデミー副理事長)【ポスター画像】 〇第3回 2016年5月20日(金) テーマ①:「防災と補助犬 ~障害インクルーシブ防災から学ぶ~」講師:藤井克徳(日本障害フォーラム(JDF) 幹事会議長)テーマ②:「補助犬同行避難について~防災の観点から~」講師:山口千津子(日本動物福祉協会特別顧問、日本補助犬情報センター理事)【ポスター画像】 〇第4回 2017年5月22日(月) テーマ①:「障害理解の最前線~障害の社会モデルを知る~」講師:星加良司(東京大学大学院教育学研究科付属バリアフリー教育開発研究センター専任講師)、テーマ②:「補助犬同伴の社会参加について~相互理解の観点から~」講師:各補助犬ユーザー 【ポスター画像】 〇第5回 2018年5月22日(火) テーマ①:「海外の補助犬ユーザーの受け入れに関する現状と課題」、テーマ②:基調講演「改正バリアフリー法から見えてくる日本のレガシー」講師:川内美彦(東洋大学人間環境デザイン学科教授) 【ポスター画像】 〇第6回 2019年5月23日(木) テーマ①:「2020 に向けて何が変わるのか? ~日本の障害者を取り巻く現状と課題から見えてくるもの~」講師:石川准(国連障害者権利委員会副委員長、静岡県立大学国際関係学部教授)、テーマ②:「補助犬ユーザーと防災~様々な事例紹介やワークを通して~」講 師:北村弥生(国立身体障害者リハビリテーションセンター) 【ポスター画像】【写真:シンポジウム中の客席の様子】 〇第7回 2021年5月22日(土) 【ほじょ犬の日】啓発シンポジウム開催(2021 年)(youtube にて動画公開)挨拶:尾辻秀久(身体障害者補助犬を推進する議員の会会長)、補助犬議連幹事、テーマ①:「補助犬とどこへでもいける社会にするために~補助犬法と障害者差別解消法の観点から~」講師:大胡田誠(全盲、弁護士)、テーマ②:クロストーク 大胡田弁護士×補助犬ユーザー 【動画のサムネイル画像】 * 2020 年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、シンポジウムは中止。 ■章扉:補助犬法20周年スペシャルメッセージ 功労者 〇全日本盲導犬使用者の会 元会長 清水和行&盲導犬ファイン 夢の補助犬法成立から 20 年 2002 年5 月22 日は、私たちの夢がかなった日でした。参議院本会議において身体障害者補助犬法が全会一致で可決成立したその日、私は補助犬使用者の仲間たちとともに参議院 本会議場にいました。その場に立ち会うことができた喜びを今も忘れることはできません。 私はこの補助犬法の価値を次のように考えます。 第一に、補助犬を同伴しての施設利用や公共交通機関の利用などが、「お願い」から「権利」として認められたことです。そして、この法律が国民の代表である国会議員全員の賛成で成立したことは、障害者が補助犬の力を借りて社会で生きていくことを、国民全員で応援してくださったことにもなるのです。これは私たちに大きな勇気を与えてくれました。 第二に、補助犬法は、盲導犬・聴導犬・介助犬使用者が力を合わせて勝ち取った法律であることです。目が見えない、耳が聞こえない、手足が動かない、という障害の違いを越えて、犬の力を借りて自立したいという思いで繋がりました。この友情と団結があったからこそ、私たちを支えてくださった健常者の仲間たちも力を貸してくださったのだと思います。 第三に、補助犬法に入店拒否や乗車拒否の罰則規定がないことです。このことは賛否両論あろうかと思います。当時、全日本盲導犬使用者の会も、悪質な入店拒否や乗車拒否に対する罰則規定を求めていました。盲導犬使用者も入店拒否や乗車拒否で苦労していたのです。そして、それは今でもなくなったわけではありません。ですから、今でも罰則規定を求める声があることも承知しています。それでも私は、補助犬法に入店拒否や乗車拒否の罰則規定がないことを良かったと思っています。 喫茶店で盲導犬の同伴を拒否されたとき、補助犬法の罰則をちらつかせて入店できたとしても、私はその店のコーヒーを楽しく飲むことができません。補助犬同伴を認めるかどうかは、受け入れ側の心の問題です。心まで罰則で変える事はできません。笑顔で「どうぞ」ともてなされたとき、初めておいしいコーヒーを飲むことができるのです。そしてマスターも私も幸せになれるのです。そんな風になると良いなあと思っています。 いつも傍らにいてくれる補助犬のお陰で、私たちは幸せに生きています。そしてその基盤となる補助犬法に感謝するとともに、これからも補助犬法を大切に育てていきましょう。 【写真:プロフィール】【写真:ヘリコプター救助訓練に盲導犬と参加(写真提供:広島市消防局)】 〇日本介助犬使用者の会 会長/宝塚市大使 木村佳友&介助犬デイジー 身体障害者補助犬法20 周年~優しさの輪に支えられて~ 私は交通事故で車いす生活になり、1996 年に介助犬シンシアとの生活を始めました。当時、介助犬は数頭のみで法的な規定はなくペット扱いされ、レストランやスーパーだけでなく、公共施設や交通機関でもシンシアを同伴できませんでした。その度に辛い思いをし、シンシアとの外出を諦めかけたこともあります。 しかし、活動を応援してくれる人や介助犬の講演を依頼してくれる人などが現れ、少しずつ支援の輪が広がっていきました。 そんな時、介助犬の普及啓発に取り組んでいた医師の高柳友子さんと出会い、高柳さんが設立された日本介助犬アカデミー(現・日本補助犬情報センター)にも参加し、介助犬の普及啓発に取り組むことに。「これからの介助犬使用者が、私と同じ苦労をしないで済むように」という一心でした。 私が暮らす宝塚市では市立施設への同伴が認められ、ダイエーグループは全国の8000 以上の店舗・施設で同伴を受け入れてくれました。また、一部の鉄道にはシンシア同伴で乗車が可能に。さらに、毎日新聞が介助犬のキャンペーン報道を展開するなど、活動を大きく後押ししてくれました。 そんな頃、衆議院議員だった中川智子さんとお目にかかる機会があり、介助犬の役割や現状を訴えました。中川さんは介助犬の必要性を理解し「他の国会議員にも介助犬のことを教えて!」と言って下さったんです。国会への介助犬同伴は前例がなく大変だったようですが、ひと月後に私とシンシアは高柳さんら関係者の皆さんと一緒に国会を訪問。予算委員会の傍聴、衆議院議長との面会。そして、介助犬の勉強会も開くことができました。 その後、中川さんをはじめ、勉強会に参加して下さった議員の方々が中心になり、1999 年7 月に前身となる『介助犬を推進する議員の会』が設立されました。 私たちは、現状や必要性を訴えるため、議員の会や厚生労働省へ何度も足を運びました。 議員の会では、国内外の現状や法整備の調査、関係者のヒヤリングなどが行われ、道路交通法で規定されている盲導犬でさえ同伴拒否が絶えないことも分かり、盲導犬と聴導犬も法律に加えられることに。そして、2002 年5 月22 日、『身体障害者補助犬法』が全会一致で成立。採決の瞬間を、ともに活動してきた人たちと一緒に傍聴し、嬉しくて涙したのを憶えています。シンシアには「これで、安心して一緒に出かけられるようになるよ♪」と……。補助犬法の成立は、マスコミでも頻繁に取り上げられ、社員への周知に取り組む企業もあり、理解が拡がりました。 法成立から20 年、普及啓発にも取り組み、2007 年には改正も行われました。しかし、報道や企業の取り組みが少なくなっていて、補助犬法の認知度は下がっています。 そして、同伴拒否はなくなっていません。 今は3代目のデイジーと生活し、介助犬との生活は26 年になりますが、未だに初めての施設を利用するときには、「同伴を拒否されるのでは?」と憂鬱になります。 JR宝塚駅には、皆さんからの寄付によって、『すべての人にやさしい街づくり』を目指すシンボルとして、シンシアの銅像が置かれています。 皆さんの心のバリアフリーで、障がい者が補助犬と一緒に社会参加する姿が、当たり前の光景になることを願っています。 【写真:議員会館にて介助犬勉強会(1999 年 2月 1 日)】【写真:補助犬法成立(2002年5 月22 日)】【写真:プロフィール】 〇聴導犬使用者「タッチの会」(現・日本聴導犬パートナーの会)元代表 松本江理&聴導犬チャンプ 3 頭のパートナーと歩んだ補助犬法の20 年 このたびは身体障害者補助犬法20 周年おめでとうございます。 補助犬法が成立した時のことは今でも忘れることができません。 手話通訳の手が「全員」「一致」「賛成」と動いた瞬間、傍聴席が揺れたように感じました。私の前列では盲導犬ユーザーの清水さんがパートナーのティップを撫でているのが見えました。私もフラッシュの光を感じながら足元の柴犬・美音(みお)の頭を撫でたのですが、その時、それまでこの子と歩いてきた道のりが思い起こされ、涙がこぼれたこともはっきりと覚えています。 補助犬……、とはいえその当時はまだその言葉も定まってなかったのですが、長い歴史と知名度のある盲導犬、そして当時、海外からの来日や、宝塚のシンシアが話題となっていた介助犬の地位とアクセシビリティを法的に認めていこうという動きが出ていたことを当初、私は知りませんでした。 1995 年から「聴導犬」美音と暮らしてはいたものの、その認定には法的根拠はなく、どこへ行くのもお願い、お願いばかり。断られ、時にバッグの中に美音を入れて移動したことも。それでもめげず、さぁ、次こそ!ということの繰り返しでした。 そんな個人的な活動を目に留めていただき、聴導犬も「補助犬」の仲間に入れてもらうことができたのです。補助犬法はそのような当事者たちの願いが集まってできた法律である、ということに大きな意義があるのではないでしょうか。 私は、法律の礎となる日々を美音と過ごし、その後、その法律の下、2 頭目のパートナー「ブランカ」と共にいろいろなチャレンジをしてきました。3 人の子を育てながら、真っ白でエレガントなブランカと共に全国を駆け回った日々も懐かしく思い出されます。その中で、強く感じたのはやはり「人」の力でした。 ルールや法律はできておしまいではありません。関わる人がそれを正しく知り、正しく運用してこそ意義があると思います。「法律で決まってるから受け入れろ! 拒否は違反だ!」ではなく、「法律できちんと認められた犬なのです。だから正しく理解してください、認めてください」というアプローチが、真の理解と受け入れにつながります。 私たちは特別なことをしたいわけではありません。美味しいものを食べに行きたい、学びたい……、多くの人が考えるそんな「当たり前」のことを当たり前にしたいだけなのです。補助犬法は補助犬と暮らす人々、補助犬を作り出す人々、支える人々、そして、補助犬を受け入れる社会の人々を支える屋台骨であり、それが「ともに生きる」社会につながっていくと思うのです。 私の3 代目のパートナーはトイプードルのチャンプです。初めて男の子がパートナーになって4 年。子どもたちの手が離れつつある中、甘えん坊な子どものようなこの子とまた新しい日々を重ねていくことに楽しみを見出す毎日です。補助犬法20 周年に想いを寄せて……。 【写真:初代聴導犬「美音」(柴犬)】【写真:2 代目聴導犬「ブランカ」(雑種)と各地で講演活動】【写真:プロフィール】 〇橋本龍太郎元総理夫人 橋本 久美子 身体障害者補助犬法に賭ける期待 夫 橋本龍太郎が務めさせていただいた「身体障害者補助犬法を推進する議員の会」が法案を作成、提出していた頃を思い返せば、大病を患い、随分と家族も心配をしておりましたので補助犬と暮らす皆様も、法律制定に期待を寄せる皆様にもご心配をおかけしていたのではないかと存じます。 幸い、身体障害者補助犬法は成立し、熱心に活動をなさっていた当事者の皆さまと議員会館で記念の会をすることが出来たことは大変喜んでおります。 夫の父 橋本龍伍は足が悪く、そのようなこともあって障害者の自立や社会参加支援には一方ならぬ想い入れがあったように思います。 補助犬議連事務局として橋本にレクに来られた高柳友子女史のことを「わんこ姫」と私に紹介してくれたのが彼女との出会いだったと思います。「どんな国会議員よりも登院回数が多い人だ」と笑っていたことも思い出されます。当事者の熱心なロビー活動と、わんこ姫のガッツに、橋本も一役担う決意をしたのではないかと思います。 常々、脚光を浴びない分野にこそ政治家の力が必要だと橋本は申しておりました。障害者福祉はその一つだと思います。ましてや、数の少ない補助犬は、議員が動かずしては忘れ去られてしまう課題となると考えたのでしょう。また、法律を作ることがゴールなのではなく、法律を作ることはスタートであるとも考えておりました。法改正のために議連を存続させ、法律制定に留まらず、橋本が手がけた国立リハビリテーションセンターでの研修会の開催を厚生労働省に指示したことで、現在も多くの方が学びを深めていることを聞いて安堵しております。 本来は、もっと長く補助犬法による補助犬の発展を見届けたかったのではないかと思います。みなさまのご活躍に目を細めて喜んで見守っていると存じます。 私もわんこ姫にお願いされまして、微力ながら日本介助犬協会の会長を拝命し、補助犬分野の発展に力を注いで参る所存です。 補助犬議連の皆さま、補助犬と共に生きる皆さま、補助犬に関わられている皆さまともに手を携えて、今後も引き続きまして補助犬分野の発展に寄与して頂きますことをお願い申し上げます。 【写真:プロフィール】【写真:麻生総理面会(2009 年2 月13 日)】 〇身体障害者補助犬を推進する議員の会 元事務局長、元宝塚市長 中川 智子 身体障害者補助犬法20 周年に寄せて 身体障害者補助犬法が、衆参両院全員の賛成を得て成立してから20 年。実に感慨深いものがあります。 議員立法であるこの法律は成立するまでも幾多の困難があり、三国会またいでやっと日の目を見ましたが、不思議と苦労さえ笑い話になるほど明るく楽しい法律作りでした。最後、ギリギリ自民党の総務会直前に亡き野中広務さんに力を貸していただいたご恩は忘れられません。 思えば2002 年5 月、成立を喜んだ一方で、今この場で喜びを分かち合っている人々の何人が、3 年後、5 年後にここにいるのだろうか、この法律は成長していけるだろうかと大変不安だったことを覚えています。 幸い、情熱と責任感あふれた方々がバトンをつないでくださり、着実に法律を成長へと導いてくれています。心から感謝申し上げます。 木村佳友さんとシンシアが国会の扉をこじ開けた1999 年2 月1 日。人間よりも堂々と一歩一歩絨毯を踏みしめ歩いたシンシアの姿。すべての始まりの時でした。 法律を作ろう、の扉が大きく開いたのは、橋本龍太郎元総理の優しさ。お父上への深い思いを議連のメンバーに語ってくださったその時からでした。その言葉に我々は胸を熱くし、思いと決意を共有することができました。法律の生みの親は橋本元総理だと私は思っています。 トモコたちも頑張りましたね。(阿部)知子、(髙柳)友子、(橋爪)智子に(中川)智子。これはもう奇跡です。トモコが4 人揃えば怖いものなし! 楽しい思い出は尽きません。 今日の宝塚の空は青。かわいく浮かんでいる雲は、まるで龍太郎元総理にじゃれついているシンシアとエルモのようです。あっつい涙があふれてきました。もう年ですねぇ、涙もろくなってしまって……。 最後に。どうか皆様、補助犬議連をよろしくお願いいたします。お世話になりました方々に心からの感謝を込めて。 【写真:衆議院議長面会(1999 年2 月1 日)】【写真:議連から丹羽厚生大臣へ要望書(1999 年12 月16 日)】【写真:シンシア像除幕式(2015 年3 月14 日)】 〇一般社団法人日本身体障害者補助犬学会 理事、身体障害者補助犬を推進する議員の会 元共同事務局 高柳 友子(愛知医科大学医学部 客員教授/医学博士) 身体障害者補助犬法制定から20 年を迎えて 介助犬シンシア誕生により頸損の木村さんとご家族の生活が大きく変わり、木村さんとシンシアの活動は、宝塚市を動かし、兵庫県を動かし、前宝塚市長 中川智子さんの心を動かし、シンシアが国会の赤絨毯を闊歩する日につながりました。「盲導犬には法律はあるが、介助犬には法律がなくペット扱い。法制化が必要」、『介助犬を法制化する議員の会』が立ち上がりました。一方で私自身は東京医科歯科大学の大学院生として情報機関「日本介助犬アカデミー」を立ち上げ、創業メンバーらと介助犬の基礎的調査研究班の分担研究者として科研費で、父・高柳哲也を班長に、介助犬の国内外の実態調査、国内外の関連する法律や制度、獣医学・動物行動学的背景、公衆衛生学とリハ医学的な安全性と有効性の検証について調査研究を進めました。これら報告書が元となって補助犬法案が立案されることとなりました。 木村さんと介助犬シンシアが国会に日参する日々を日本介助犬アカデミーとして支援し、学術的には介助犬研究班としての調査研究を重ねました。国会でも社会でも急速に拡がった理解と支援の輪により全日本盲導犬使用者の会の清水会長はじめ全国の盲導犬使用者が議連事務局長の中川さんに訴えました。「道路交通法だけでは盲導犬使用者の社会参加は保障されていない!」介助犬と共に盲導犬についても法整備を検討すべし!当事者の声が通りました。更なる検討の中で、孤軍奮闘していた聴導犬使用者の松本さんが「いちばん数少ないけど見落とさないで!」と聴導犬の必要性を訴えました。かくして『介助犬を法制化する議員の会』は『身体障害者補助犬を推進する議員の会』として補助犬と共に社会参加することを拒んではならないとする法案を制定することとなりました。当事者が立ち上がって制定された超党派の議員立法として異例づくしだったと聞きました。議連事務局支援専門職としてほぼ全ての党内手続での説明やレクに走り回る中で何度も「盲導犬使用者1000、介助犬は30 数名?聴導犬に至っては数名??いったい何人のための法律?」と聞かれました。補助犬法の恩恵を受けるのは現在の使用者だけではない、誰しもが死ぬまでには必ずや「障害者」となること、いつ何時誰がどのような障害を持つかは分からないこと、だからこそ障害者が暮らしやすい社会にすることは全国民にとって必要なことが理解される重要性を思い知らされました。 昨今、東京オリパラ開催を契機に心のバリアフリーの重要性が訴えられました。犬は究極の心のバリアフリーな生き物です。パートナーは目が見えないから危険かも、聞こえなくて不安がある、肢体不自由だけでなく全身の痛みで苦しんでいる障害者、と気遣いは全くありません。常に美味しいもの♪と楽しいことだけを考えて「褒めてー♪」と寄り添ってきます。だからこそ人を元気にし、周囲に笑顔を起こし、笑顔を通じて人と人をつなぐ力を持っています。 20 年経った今も補助犬同伴拒否があるのは残念な実態です。しかし、おおよその場合は法律の存在さえ知れば、「知りませんでした。申し訳ありません」、利用後は「おりこうさんですねー。是非またご利用下さい」になると経験しており補助犬がもたらす障害者への理解促進の効果だと思います。補助犬の普及活動も障害者の社会参加促進に対する理解と共に前進しているものと確信しています。 世界では、3 種類の補助犬以外のサービスドッグの役割が拡大しています。PTSD や精神障害、自閉症や認知症、犬と人の1対1の関係のみならず、犬1 に対して当事者とご家族が管理者となることで生まれる効果や有効性もあり、今後我が国でも、補助犬法制定の時と同様、当事者が立ち上がり、補助犬法を拡大する必要性が出てくる日も遠くないのではないかと思います。その時には、またしっかりと学術的検討をし、安全性と有効性を明らかにしながら法律や制度の発展を持続させることが求められます。 法律制定がゴールではなく、課題に目を向け解決を続ける。そのために補助犬議連は法律制定をもって解散するのではなく、存続し、法改正や省庁との意見交換を続けることとして下さったことに心から感謝申し上げます。 今後も、補助犬が障害者の社会参加促進に益々寄与し、全ての人にとって暮らしやすい、社会参加しやすい社会となるよう補助犬議連の皆様のご活躍を心よりお祈り申し上げます。 【写真:プロフィール】 〇米国ワシントン州、シアトル市 スーザン・ダンカン(Susan Duncan) 親愛なる友人たちへ Dear Friends 原文:Dear Friends: I had the privilege of working with the founders of the Service Dog Resource Center to prepare Japan to accept the role of service dogs. After 20 years, the Center has proven that this is a necessary service to ensure that people with disabilities can fully participate in life in your beautiful country. Congratulations, Service Dog Resource Center, for your important work! -Susan Duncan, RN, Seattle, WA" 日本語訳:私は身体障害者補助犬法成立のきっかけとなる活動を始めた日本補助犬情報センター(当時:日本介助犬アカデミー)を立ち上げた方々と共に日本国内の補助犬の受け入れを促進するための作業に協力をさせていただきました。このことを大変光栄に思っております。20 年たった今、同センターは障がいのある人々が日本という美しい国の様々な営みに参加できることを保証することがいかに重要であるかを示してまいりました。皆様がこの大切な仕事に従事されてきたことを心からお慶び申し上げます。 【写真:国会議事堂前にて(1999 年2 月1 日)】【写真:橋本龍太郎会長と(2000 年10 月24 日)】 〇毎日新聞客員編集委員及び琉球新報客員編集委員 藤原 健 優しく上質な社会のために それは1998 年8 月末のことだった。 「シンシアを連載しよう」 毎日新聞阪神支局長だった私は、支局員の山本真也記者に注文をつけた。山本記者はその年の春から、介助犬シンシアと使用者の木村佳友さんの取材を始め、何本かの記事を書いていた。この提案に異存があるはずがない。じっくり取材し、20 回ほどの連載にまとめてみたい。そう受け止めたと後日、述懐している。 山本記者のやる気を確認した私は、言葉を重ねた。 「じゃあ、100 回。2 週間後に始めようか」 これが以後に続く毎日新聞の本格的なキャンペーンの始まりだった。 ただし、連載がその後500 回を越え、その途中で身体障害者補助犬法として法制化されることまでは、さすがに想像できなかった。私も山本記者も引退した後、誰かが後を引き継いで法律に結びつく日まで頑張ってほしい。異例であっても長期に取り組んでみよう。今こそ、そのスタートなのだ。想定をはるかに超える仕事になるかもしれない。ちょっと戸惑っているようにも見えた山本記者を前に、私はこう考えた。 この企画に思い至ったのは、木村さんに支局までご足労願い、話をじっくり聴く機会があったからだ。十分に訓練を受けているのに、電鉄職員が車両でいきなりシンシアの尻尾を踏みつけ「テスト」したこと。「犬嫌いの人がいるから」という理由で催し、公共施設、ホテル、飲食店など使用者が立ち入る施設からシンシアの同行は断られてきたこと……。 問題の本質は、訓練された犬の介助を必要とする人間の社会参加を拒む私たちの社会にあった。これを改善するのは、そのように丁寧に説明し、理解の輪を広げることに尽きる。 阪神支局は、その3 年前に発生した阪神大震災の被災地の中にある。木村さんが暮らす宝塚市も含まれる。6000 人以上の人が亡くなり、当時、戦後最大級の自然災害だった。人々はつらかった日々を助け合うことで震災の傷を克服しつつあった。「困ったときはお互いさま」。相互扶助の心が生きているこの地域の人たちは、一人と一頭の苦闘を「自分ごと」として受け止めるはずだ。 地域面の、決して大きくはないスペースで続いた連載が、素敵な人々との出会いと連携を生んで大きな力になった。支局の忘年会に招いた当時衆議院議員で後の宝塚市長になる中川智子さん。同様に招待していた木村さんの横で静かに伏せているシンシアを見て、「あーら、これが介助犬なのね。力になりたいわ」とすぐに議員連盟をつくってくれた。 私は木村さん、シンシアと一緒に大学に出かけて学生たちに、ゴルフ場ではチャリティーゴルフの参加者たちに「木村さんの話に耳を傾け、介助犬の姿を見て欲しい」と語り続けた。シンポジウムも開いた。連載の途中で本にまとめた。これが下敷きになってテレビドラマにもなった。 新聞記者は「書いて終わり」ではない。大きなうねりにつながるような活動にも、可能な限り取り組むべきではないか。シンシア・キャンペーンを通じて学んだことは、沖縄を生活・取材拠点にする今の私に生き続けている。人としての当然の権利を行使できる優しくて上質な社会。その発展のために今後も、ささやかに貢献したい。 【写真:プロフィール(琉球新聞社提供)】【木村佳友さんとJR 宝塚駅改札口前で(2015 年3 月14 日)】 〇一般社団法人 大授 代表理事 髙田 かおり 「補助犬ふれあい教室」の思い出 このたび身体障害者補助犬法の施行から20 周年を迎え、記念誌が発行されますことを心よりお祝い申し上げます。私が株式会社ダイエーで、10 年間補助犬と共に歩むきっかけになったのは、1993 年4 月に盲導犬募金の担当となり、育成団体にお伺いした際、「ダイエーさんで盲導犬を同伴して買い物がしたい」という使用者からの声でした。当時、盲導犬はペット扱いで、店舗の入店を断られることが多く、盲導犬を同伴していることで行動が制限される状況でした。使用者の声を受け、盲導犬の訓練や仕事を拝見させていただき、1993 年10 月に全店で盲導犬の受け入れを開始いたしました。ところが「店の中に犬がいるのはけしからん」「ペット禁止なのになぜ盲導犬はいいのか」といったお叱りの声が寄せられ、一般のお客様に盲導犬を理解していただくことの必要性を痛感いたしました。 1994 年4 月より、育成団体の協力を得て、盲導犬の仕事や社会的にきちんとしつけられていることを理解していただく「盲導犬ふれあい教室」を私と育成団体職員、デモ犬の三人八脚(?)で、定期的に全国で開催いたしました。実演中に「犬がいる。外に出せ!」と怒鳴られたこともありましたが、職員と励まし合い3 年4 年と継続するうちに、盲導犬に対する理解も進み、1997 年4 月に聴導犬、1999 年7 月に介助犬の受け入れを開始いたしました。介助犬は、同年2 月に木村佳友さん(日本介助犬使用者の会会長)の講演会に伺ったことがきっかけですが、当時から、木村さんと介助犬シンシアには、行政、議員、企業、市民の力強い支援があり、「補助犬ふれあい教室」と名前を変えた活動は、他社との共催により規模が拡大し、マスコミにも取り上げられ、多数のお客様が熱心に参加される様子が全国で見られたことから、法制化への関心が高まっていることを実感いたしました。 厚生労働省に「介助犬に関する検討会」が設置され、私も参画いたしましたが、なんといっても貴会が果たされた役割は大きく、2002 年5 月に補助犬法が成立、同年10 月に施行されましたことに深く感謝申し上げます。私は法制化後、軸足を障がい者の経済的自立の支援に移しましたが、20 年前のあの感動を財産として活動を行っております。 今後も、貴会の積極的な活動により、補助犬への理解が図られ、使用者の社会参加が一層促進されますことをご期待申し上げて、お祝いの言葉とさせていただきます。 【写真:プロフィール】【写真:「盲導犬ふれあい教室」(1999 年ダイエー東戸塚店にて)】 使用者の会 〇全日本盲導犬使用者の会 会長 山本 誠 私ども、全日本盲導犬使用者の会は、1994 年の発足以来、出身育成団体の枠を越え、集い、語り合い、そして、一人では解決できないような諸問題を、力を合わせて乗り越えてきました。ユーザーと支援者が協力し合い、様々な地域で実施される使用者交流会を定期的に開催すると共に、最近ではオンラインを併用し、常にユーザーを「繋ぐ」ことに終始努めております。 身体障害者補助犬法の一部改正に向けた取り組みにおいては、介助犬・聴導犬使用者の仲間と共に、身体障害者補助犬法改正使用者団体連合会(補改使連)を結成し、活動することができました。その取り組みや成果が、今の私たちの足場となり、より良い社会参加に通ずる道しるべになっていると感じています。 障害を負った時期やその種別により、一人一人の想いも考えもさまざまです。それらを互いが批判し合わず、仲間を認め合い、尊重していくことが、未来を明るく照らす一番の手段であることを、補助犬法の成立・そして改正に向けた活動を通じ、私たちは学びました。 この先10 年・20 年も、お互いの絆がより深く、強くなるよう、皆さんと力を合わせて、一歩一歩歩んで行きたいと考えております。 まだまだ目の前には、たくさんの課題が山積みではありますが、我々補助犬ユーザーが、より楽しく、より充実した生活を手にすることができるよう、さらなるお力添えのほどお願い申し上げます。 【写真:全日本盲導犬使用者の会第21 回総会の様子】 〇日本介助犬使用者の会 会長 木村 佳友 身体障害者補助犬法20 周年に寄せて 『身体障害者補助犬を推進する議員の会』におかれましては、長年にわたって障がい者福祉ならびに補助犬普及にご尽力いただき感謝申し上げます。 日本介助犬使用者の会は、介助犬の公的認知を求める活動に取り組んでいた使用者が中心になって、2001年に発足した団体です。介助犬の普及啓発や使用者間の交流・情報交換などを目的に活動しています。 また、補助犬の普及啓発のため、盲導犬・聴導犬の使用者団体とも連携しています。特に、補助犬法改正の際は、協議会を作り議員の会や厚生労働省に何度も足を運びました。署名活動では、法改正に賛同する10 万筆を超える署名が寄せられ、活動の大きな後押しになり、感謝の気持ちで一杯でした。 補助犬法では、補助犬同伴の受入れが義務付けられただけでなく、補助犬の質を担保するため、認定制度が導入され訓練事業者・使用者の義務も規定されています。私たち介助犬使用者も、広く見聞を深め、使用者としての向上に努め、介助犬の発展に寄与したいと考えています。 しかし、法成立から20 年が経った現在も、補助犬の同伴拒否はなくなっていません。 皆さんが「障がい者の自立と社会参加」をご理解くださり、障がい者が安心して補助犬と一緒に出かけられるように、ご支援ご協力をよろしくお願いします。 【写真:橋本龍太郎会長(当時)へ法改正のお願い(2005 年2 月25 日)】【写真:議連総会で署名を提出する(2006 年11 月14 日)】【写真:介助犬使用者の集い(2013 年10 月12 日)】 〇日本聴導犬パートナーの会 代表 安藤 美紀 「日本聴導犬パートナーの会」の代表、安藤美紀と申します。この会は2003年10 月1 日、身体障害者補助犬法完全施行の日に設立した聴導犬使用者「タッチの会」から引き継ぎ、早5 年になります。 当時、聴導犬ユーザーの松本江理が「タッチの会」代表として、貴重な身体障害者補助犬法施行を見届けておりました。この会の目的は、全国の聴導犬の使用者が、どこで訓練を受けたか、どこで認定を受けたかの違いを越えて、交流し、情報を交換することにより、聴導犬とともにより安全で快適な生活を送ることが出来るようにすると同時に、聴導犬の普及や社会的な認知を高めるための活動を行うことでした。それを新たに全国の聴導犬ユーザーが参加できるよう、「日本聴導犬パートナーの会」と改名させていただきました。 これまでの補助犬ならび補助犬法について、振り返ってみるとコロナ禍もあり、一時はマスク着用で口の形が見えない、顔が見えないことでコミュニケーションが取れないなどの生きづらい社会を感じたこともありましたが、この会のおかげで情報交換や相談がユーザー同士で行われており、より必要性を強く感じました。 聞こえないことで孤立しがちの聴導犬ユーザーですが、2002 年の身体障害者補助犬法の成立・施行から盲導犬、介助犬ユーザーとの繋がりが一層深まり、知識と発言力が身に付きました。今後も引き続き、補助犬ユーザーがひとつになれるような「ほじょ犬の日」行事やイベントの継続を願います。 【イラスト:聴導犬がユーザーにインターホンの音を教える】【写真:補助犬フレンドリーまつりin 恵比寿にて(2018 年9 月30 日)】【写真:コロナ禍での医療従事者への感謝を伝える動画を作成・配信(2020 年)】 企業 〇元・毎日新聞阪神支局記者 山本 真也 毎日新聞のキャンペーン報道 1998 年春、私は阪神支局の記者として兵庫県宝塚市在住の車椅子の障害者、木村佳友さんと介助犬シンシアに出会いました。介助犬という言葉は世間に存在しないに等しく、シンシアは鉄道に乗るために、尻尾を踏まれるような試験を受けていました。そんなペアの奮闘を記事にしていたある日、当時の藤原健支局長から現状を変えていくため100 回以上の連載をしないかと提案されました。 タイトルは「介助犬シンシア」。支局の同僚と書き始めた連載は、2006 年まで計523 回続きました。同時に私たちはシンシアを法律で位置づけるために何ができるかを考え、時にはキーパーソンを結びつけ、自治体や議員の方への提案を行う多面的なキャンペーンを展開しました。 1999 年2 月、中川智子衆院議員(当時)の尽力で、木村さんの国会訪問が実現しました。フラッシュを浴びても平然と寄り添い、勉強会では普段通りの介助動作を見せたシンシア。この日の成功は議連結成につながりましたが、その後の道のりは決して平坦ではありませんでした。 有事法制をめぐって与野党が激しく対立し2001 年の国会。法案提出のヤマ場と位置づけ、秋から冬にかけ、木村さんや広島や長野などに住む使用者が毎週のように上京し、議員会館を回りました。強力な団体が背後にあるわけでなく、議員の心を動かすには、ペアの姿を実際に見てもらうことが必要でした。ある部屋では「手が不自由なのに、犬が暴れると危険じゃないか」と厳しい質問を受けました。手足は十分に動かないが、言葉で介助犬を巧みにコントロールしていた男性は「そんな危険な犬は介助犬とは言いません。安全な犬が社会に 出るためにこの法律が必要です」と訴えました。「そう言うけど、犬が騒いだらどうするんだ」と納得しない議員に、盲導犬と暮らす東京経済大教授、竹前栄治さんは「先進国のなかで盲導犬のアクセス法がないのは日本だけです。私は国際学会に行って、何度も恥ずかしい思いをしました」と懸命に語りかけました。私は介助者を兼ねて同行していましたが、この時期の使用者の頑張りは忘れられません。 身体障害者補助犬法成立から20 年。その間、シンシアは亡くなり、竹前さんや「親父はこんな犬がほしかった」と議連会長を引き受けた橋本龍太郎元首相も世を去りました。毎日新聞も当時を知る記者は少なくなりましたが、代々の阪神支局の記者が補助犬の取材を続けています。毎日新聞大阪社会事業団「シンシア基金」にはこれまでに約6700 万円が寄せられ、浄財は補助犬の育成や補助犬ステッカーの製作に役立てられています。宝塚では補助犬シンポジウムをコロナ禍ではオンラインに切り替えるなどして毎年欠かさず開催しています。 補助犬法を真に社会に生かすため活動を続けている議連の皆さまと同じく、私たちの果たすべき役割もまだ終わっていないと考えています。 【写真:毎日新聞の紙面を飾った国会訪問時の木村さんとシンシア(1999 年2 月)】 〇株式会社京王プラザホテル 代表取締役社長 若林 克昌 京王プラザホテルにおける補助犬受け入れについて 身体障害者補助犬法制定20 周年を迎えられましたこと、心よりお慶び申し上げます。また、「身体障害者補助犬を推進する議員の会」の皆様をはじめ、ユーザー団体、訓練事業に関わる皆様には日頃より温かいご指導とご支援を賜り感謝申し上げます。 京王プラザホテルでの補助犬受け入れは、1988 年にリハビリテーション世界会議が当ホテルで開催された際に客室のバリアフリー化をはじめとしたハード面の整備とともに盲導犬の受け入れを開始したことがきっかけでした。以来、補助犬をパートナーとする多くのお客様にご利用いただき、1997 年には日本で初めて海外からの介助犬同伴のお客様にご宿泊いただくなど、2002 年の身体障害者補助犬法の施行前から補助犬の受け入れを積極的に推進してきました。 2007 年には、外出先で補助犬に安心して排泄させられる場所を探すのは一苦労とのお声を受け、業界初となる「補助犬専用トイレ」を設置しました。別名アイアンウッドとも呼ばれる耐久性に優れた木材を使用したウッドデッキと、犬の足にもやさしい素材の人工芝を採用し、車椅子でも後片付けしやすいよう床面より高い位置に設置した排泄用の段や、動線上の床面に配した点字ブロックなど、ユーザーにも犬にもやさしく使いやすい仕様が、導入から15 年を経た今も大きなご支持をいただいております。 2017 年の「公益財団法人日本盲導犬協会創立50 周年記念式典」では、盲導犬180 頭と182 名のユーザーの皆様をお迎えし、ホテルエントランスから5 階宴会場入り口まで、進路に沿ってホテルスタッフが並び途切れることなく声のリレーでご案内し、お客様から「移動の不安を感じることなく宴会そのものを楽しめました」との嬉しいお言葉を頂戴しました。 このように多くの補助犬ユーザーの皆様をお迎えしたことはホテルスタッフの貴重な経験となり、あらゆるお客様に対する「心のバリアフリー」の推進に繋がりました。2018 年には「東京都『心のバリアフリー』サポート企業」に登録され、特に優れた取り組みをしている企業として、ホテル業界では初めて好事例企業にも選定されました。その後もユーザーの方が補助犬と一緒に避難する防災訓練を実施するなど新たな取り組みを続け、昨年9 月には観光庁の「観光施設における心のバリアフリー認定制度」において東京都第一号として認定されました。 京王プラザホテルは、これからもお客様一人ひとりに寄り添い、安全かつ快適にホテルでのご滞在をお楽しみいただけるよう、日々取り組んでまいります。今後ますます補助犬への理解が深まり、ユーザーの皆様が不安なく外出され、外食を楽しみ、旅を満喫されることを願っております。 【写真:2007 年に設置した「補助犬専用トイレ」】【写真:盲導犬&介助犬を伴う防災訓練を実施(2020 年12 月8 日)】 〇日本航空株式会社 カスタマー・エクスペリエンス本部 CX 企画推進部 補助犬法 20 周年記念誌発行にあたり この度は、身体障害者補助犬法 20 周年記念誌に寄稿させていただく機会をいただきましたことに、深く感謝申し上げます。 JAL グループは、1960 年代に身体障害者割引運賃を導入して以来、「誰もが旅を通じて、より豊かな人生を楽しめる社会の実現」に向けて、障がいのあるお客さまやご高齢のお客さまなど、移動にバリアを感じているお客さまのアクセシビリティの向上に取り組んでおります。そして、2002 年に身体障害者補助犬法が施行されて以降、補助犬使用者の航空利用のバリアを解消するために、さまざまな関係者の皆さまと連携してまいりました。 これまでに、航空会社・空港職員向け「補助犬受入れセミナー」を新千歳空港・大阪国際空港(伊丹空港)・成田国際空港・中部国際空港・那覇空港等で実施してきたほか、日本身体障害者補助犬学会や日本観光学会、身体障害者補助犬訓練者研修会シンポジウム等でのJAL グループの補助犬受け入れに関する取り組み紹介や、航空利用をされたことがない補助犬使用者を対象とした空港体験ツアーを実施してきました。また、お客さまの安全な航空利用のため、補助犬訓練事業者さまを招いて救難訓練センターにて補助犬使用者が緊急脱出手順を確認できる場を創出していることに加え、補助犬認定前の訓練最終段階の訓練犬に対しても一定の条件を満たした場合には客室内に同行いただけるよう社内制度を改定することで、補助犬訓練をサポートさせていただいております。 これらの取り組みにより、補助犬使用者が安心して航空利用いただけるようになるだけでなく、社会全体における補助犬の役割への理解促進とJAL グループ全社員の心のバリアフリーの実現につながっているものと考えております。 JAL グループはアクセシビリティの向上のため、上記の取り組みのほかにも、社員教育・ご利用環境の整備・情報発信・アクセシブルツーリズムの推進に注力してまいりましたが、これからも補助犬使用者に寄り添い、さまざまな特性のあるお客さまが多様な価値を発揮し活躍することができるよう、誰もが豊かさと希望を感じられる未来を創ってまいります。 【写真:羽田空港で実施した補助犬学会 市民公開講座「補助犬デモンストレーション」の様子】 〇東京ソラマチ 館長 坂巻 尚 身体障害者補助犬法成立20 周年によせて このたびは、身体障害者補助犬法の成立20 周年を迎えられましたこと、心よりお祝い申し上げます。同法が成立した日は、当社が管理・運営を行う東京スカイツリータウンの開業の日と同じ5 月22 日とあって、ご縁を感じております。 東京スカイツリータウンでは、すべてのお客様が安心安全に、そして快適に過ごしていただくことを目的に、開業前、日本補助犬情報センター様に様々なアドバイスを賜りました。無事オープンを迎え、おかげさまで本年、開業10 周年を迎えることができました。これもひとえに、ご関係者皆様のご指導の賜物と感謝申し上げます。 東京スカイツリータウンでは、現在も定期的に日本補助犬情報センター様のサポートを受けております。駐車場精算機設備の改修、支援車両の受け入れに関するアドバイスの他、直近では、「東京パラリンピック」開催を見据え、視覚・聴覚・肢体にそれぞれ障害をお持ちの方に、館内でのお買い物における課題点をご指摘いただきました。 また、時を同じく、障害をお持ちの方の率直なご意見を伺うセミナーを開催させていただきました。通り一遍ではない生きた声を直接伺うことができましたことは、私共にとって非常に貴重な機会となりました。余談ではありますがこの折、瞬く間に定員に達する状況になりましたことは、普段より安心安全を最優先とする当施設といたしましては、関係するスタッフの強い関心をうかがい知ることとなり、大変喜ばしく感じた次第です。 東京スカイツリータウンは、地元、地域はもとより、国内さらには世界中からお越しになるお客様をおもてなしする施設として、こうした取り組みを積極的に推進してまいりたく存じます。今後も関係者様の一層のご指導、ご鞭撻を何卒宜しくお願い申し上げます。 末筆ながら、同法の理解の一層の広まり、日常生活で様々な境遇をもつ方が等しく生活できる環境実現にご尽力される方々および関係機関の一層のご発展とご活躍を祈念いたしまして、お祝いの言葉とさせていただきます。 【写真:東京スカイツリータウン、グランドオープンセレモニー(2012 年5 月22 日)】【写真:館内検証、職員研修の様子】 訓練事業者 〇社会福祉法人 日本盲人社会福祉施設協議会 自立支援施設部会盲導犬委員会 社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会は、1953 年 に発足し、視覚に障害がある方々にさまざまなサービスを行っている施設および団体200 有余が加盟する全国組織です。社会福祉・関係機関・団体と緊密な連携をとりつつ、盲人福祉施設事業を育成強化し、福祉サービスを必要とする人びとが、社会・経済・文化などの活動に参加できるよう援助し、もって視覚障害者の福祉の増進に寄与することを目的として、分野別に組織した5つの部会により活動しています。自立支援施設部会盲導犬委員会は、全国にある11 団体すべての盲導犬訓練施設が加盟し、盲導犬訓練基準・盲導犬歩行指導計画基準・盲導犬歩行指導員養成基準の策定の他、制度改革等の最新情報を共有し、会員施設の事業活性化を目指しています。身体障害者補助犬法20 周年を迎えるにあたり、さらに会員施設相互の連携を高め盲導犬育成を強化し、視覚障害者の福祉の増進に寄与してまいります。 〇認定NPO 法人 全国盲導犬施設連合会 全国盲導犬施設連合会は、視覚障害者の自立と社会参加の促進を目的に、平成7 年4 月に「ともに生きる、ともに歩む」を共通の理念として、国家公安委員会指定の盲導犬訓練施設が連携して立ち上げた連合体です。身体障害者補助犬法の成立から、今日に至るまでご尽力いただきました議員の会をはじめ関係各位に心からお礼申し上げます。おかげ様にて、その後も見直しに伴い、補助犬のトラブルに関する相談・救済機関の設置、職場での受け入れ義務化も図られ、社会的にも盲導犬の受入は大きく前進しました。これからも視覚障害者への盲導犬情報の提供と市民からの相談対応、視覚障害者団体や補助犬関係団体との連携、国や自治体への働きかけ、さらには、盲導犬を必要し待機されている視覚障害者の方へ一頭でも多く質の高い盲導犬をスムーズに貸与できる体制を加盟施設と協力して作り上げていく活動を進めてまいります。【図:施設連合会加盟8団体】 〇公益財団法人 北海道盲導犬協会 全国にある補助犬育成施設の中で最北端に位置する当協会は、雪道歩行、老犬ホーム、生活訓練など、視覚障害者が安心して暮らせるように様々な取り組みに挑戦しています。盲導犬を待っている人達の笑顔のために、一刻も早く応えることが目標です。2002 年に身体障害者補助犬法が成立してから20 年が経ちますが、盲導犬同伴による施設利用を断られる件数は依然として後を絶たない状況が続いています。全国盲導犬施設連合会が実施した全国規模では初となる盲導犬受入れ状況の実態調査を行い、回答のあった643 人のうち、2019 年1 月からの1 年間に「盲導犬同伴で受入れ拒否」に遭ったユーザーは336 人(52%)の調査結果となりました。さらなる法律の浸透や視覚障害者への理解を進めることが必要だということがわかりました。補助犬が世の中に広く受け入れられるためには、一人ひとりの協力が必要です。そのために身体障害者補助犬法の普及・啓発に努めるとともに、盲導犬などの同伴拒否事例がない社会になるための取り組みを行ってまいります。【写真:雪道歩行の様子】 〇公益財団法人 東日本盲導犬協会 「盲導犬ユーザーに笑顔を」をモットーに、視覚に障がいをお持ちのみなさまが、より豊かに自分らしく生きるためのパートナーとしての盲導犬の育成を通して、生活の質の向上を支援することを目的に、主に東日本を拠点に活動しています。身体障害者補助犬法の成立・施行から20 周年を迎えることができ、ご尽力いただきました関係各位に心からお礼を申し上げます。当協会のユーザーにおきましても、補助犬法施行前より前進はしてきている感はありますが、まだまだ入店拒否や乗車拒否などに数多く遭遇していることを聞き、たいへん憂慮しているところです。そこで、当協会では盲導犬ユーザーが一日も早く安心して生活が送れますよう、見学会や出張講演、イベントなどの場をお借りしまして、補助犬法の啓発活動に力を注いでいるところです。また、各自治体や各種団体の広報誌に積極的に掲載していただくなどの働きかけも並行して取り組んでいるところです。このような事案が少しでも減少し、無くなりますように、各種団体などと力を合わせ、多くの方々に正しい補助犬法の内容をご理解いただけますよう、役職員一同、なお一層取組みに努めていきたいと考えております。【写真:施設の前に並ぶ3頭の盲導犬】 〇公益財団法人 日本盲導犬協会 日本で初めて厚生省(当時)の承認をうけ設立された盲導犬育成団体で、全国4か所に訓練施設を有する国内最大の補助犬育成団体です。日本で活動する盲導犬861 頭のうち約3 割にあたる252 頭が当協会の盲導犬です(2021年3 月現在)。盲導犬歩行他視覚障害リハビリテーションの提供を通じて、視覚障害福祉に貢献しています。目が見えない、見えにくい人が盲導犬と共に快適に活動できるよう、社会環境を整えることも協会の重要な事業です。そこで身体障害者補助犬法の果たす役割は大きく、社会整備を進める上での指針となっています。事業者にとどまらず、教育の現場でも法を根拠に補助犬への理解周知が語られるようになったことは大きな成果と言えます。国内法を軸に海外からの盲導犬に対しても、国際盲導犬連盟と連携してアクセス権を保証できるよう国際的な取り組みにも力を入れています。補助犬育成団体および行政、関連団体のみなさまと連携しながら、一層の貢献をして参りたいと思います。【写真:盲導犬歩行の様子】 〇公益財団法人 アイメイト協会 1957 年に日本で初めて誕生した盲導犬は、盲学校教師の河相洌さんのパートナー『チャンピイ』です。チャンピイに訓練を施し、河相さんに歩行指導をしたのが、後にアイメイト協会を設立した“ 国産盲導犬の父” 塩屋賢一です。塩屋賢一は1948 年、海外の先例にとらわれず、日本一のチャンピオンとなったシェパードのアスターとともに目隠しをして街を歩き、視覚障害者が安全に歩行するための育成法を確立しました。塩屋賢一が残した言葉「訓練には犬を愛おしむ心を、視覚障害者には情熱を」は、現在まで続くアイメイト協会の哲学です。その後、1970 年代には、公共交通機関への乗車や飲食店への入店といった視覚障害者の社会参加促進に取り組み、社会体制の整備へとつながっていきます。当協会は現在も、「アイメイト(盲導犬)の育成訓練と、アイメイト(盲導犬)による視覚障害者の歩行指導並びに日常生活訓練を行い、視覚障害者の社会参加を促進し、もって視覚障害者福祉の増進に寄与すること」を目的に事業を推進しています。【写真:創設者、塩屋賢一】 〇社会福祉法人 日本ライトハウス 社会福祉法人日本ライトハウスは、視覚障碍者である創設者岩橋武夫が、視覚障碍者の総合リハビリ・情報施設を民間で立ち上げた唯一の施設です。今年創設100 年を迎えます。盲導犬訓練所は、リハビリテーション部門の一つとして1970 年に開始しました。50 周年を迎えて、延べ784 頭の盲導犬を輩出しています。これからも質の良い盲導犬の作出と、アットホームな雰囲気での共同訓練を目指していきます。身体障害者補助犬法が成立し20 年経ちましたが、残念ながら否定的な対応を受けることが珍しくありません。それでも、この法律のおかげで、自治体が受け入れの後押しをしてくださり、少しずつの改善を感じています。これからも盲導犬利用者も盲導犬訓練もいつでもどこでも自然に溶け込めるような、そんな日が来ることを願います。【写真:エスカレーターでの歩行訓練の様子】 〇社会福祉法人 中部盲導犬協会 社会福祉法人中部盲導犬協会は、視覚障害者の「社会参加の促進」と「安全な歩行」を目的として1970 年に設立、1976 年に愛知県より財団法人の認可を受け活動して参りました。そして2013 年4 月、昨今の盲導犬を取り巻く社会情勢、また盲導犬育成事業のさらなる発展、視覚障害者の総合的な支援を目的として「社会福祉法人」へと法人格を変更いたしました。現在、中部地方を中心に視覚障害者へ盲導犬を無償貸与しております。2000 年の社会福祉法改正に伴い、盲導犬訓練施設は第二種社会福祉事業と位置づけられました。その位置づけを「視覚障害者のQOL の向上」と捉え、盲導犬育成及び貸与を通じ多角的な支援の視点を持ち実践すべく「社会福祉法人」の法人格を最大限に活かした事業を展開していきたいと思います。身体障害者補助犬法成立・施行から20 年の節目の年を迎え、共生社会の実現に向け、盲導犬のさらなる普及啓発活動等を盲導犬ユーザーと協働し取り組んでいきます。【写真:盲導犬歩行訓練の様子】 〇公益財団法人 関西盲導犬協会 1980 年、「京都で盲導犬の育成を」と願う市民により当協会は誕生しました。以後、京都府亀岡市を拠点とし、これまでにのべ440 名あまりの目の見えない・見えにくい方に盲導犬を無償貸与してまいりました。さて、身体障害者補助犬法が成立して今年で20 年。補助犬ユーザーのアクセス権を保障する法律が日本で成立したのは、実に多くの方々のご尽力があったからこそと改めて感謝申し上げます。しかし、20 年が経過した現在も、補助犬ユーザーの利用拒否は後を絶ちません。また、同法によって補助犬訓練事業者は良質な補助犬を育成することが義務づけられましたが、高齢化・情報化が進む現代社会において、補助犬ユーザーを取り巻く環境も大きく変化しています。多様化する社会のニーズに応え、補助犬ユーザーの生活の質の向上に貢献していくために、事業者に求められているサービス・良質な補助犬とは何か、今一度、考えていくべき時ではないかと感じております。補助犬事業発展のため、引き続き、ご支援賜りますようよろしくお願い申し上げます。【写真:施設の前に並ぶ3頭の盲導犬】 〇公益財団法人 日本補助犬協会 2022 年は身体障害者補助犬法が成立してから20 周年の節目の年であると共に、同法を機に設立された当協会も同様の記念の年になります。当協会では設立以来、109 頭の補助犬(盲導犬37 頭、介助犬22 頭、聴導犬50 頭)を育成及び無償貸与すると共に、認定事業や啓発事業と併せ微力ながら補助犬事業の発展に寄与して参りました。現在も補助犬ガイド士養成講座をはじめ「補助犬と学ぶ心のバリアフリー検定」の実施など、ダイバーシティー・エクイティ・インクルージョンの推進に尽力しています。この間、東日本大震災や、コロナウイルスの蔓延などの影響により経営の危機に直面する場面もありましたが、そうした多くの試練を乗り越え、20 周年を迎えることができたことを大変喜ばしく思います。 これまで補助犬育成事業を支えて下さった身体障害者補助犬を推進する議員の会、関係府省庁、地方自治体、各企業・団体、サポーターの皆様には心より深く感謝申し上げますと共に、今後も引き続いてのご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。【写真:盲導犬、介助犬。聴導犬が並んでいる】 〇一般財団法人 いばらき盲導犬協会 身体障害者補助犬法の成立・施行にご尽力された関係者の皆様に深く感謝申し上げます。皆様のご尽力があったからこそ、設立10 年の当協会は設立時より法の援護のもとで活動することができました。当協会では、視覚障害者が単独で歩行し移動することができれば、自ずと生活は充実し、社会参加が拡がり、本人の自信につながると信じ、盲導犬を「視覚障害者の自立した生活を支える働く犬」と認識しております。そして、ユーザーになる方々の、それぞれに全く異なる生活スタイルに即した犬の育成と歩行指導が必要と考えます。この目的のため、当協会の小ささと柔軟性を活かしてまいります。20 年前、盲導犬とユーザーのためにバリアフリーの「土台」が補助犬法によって作られました。しかし今日でもハード・ソフト両面でたくさんの課題が残っています。盲導犬とユーザーが社会でより輝いて活躍できるよう、当協会では様々な機会に補助犬法の理念を説明し、社会での理解を積み上げてまいります。その積み重ねが「輪と和」になって広がりますように。【写真:車のドアを教える盲導犬】 〇社会福祉法人 横浜市リハビリテーション事業団 多くの方々の尽力による身体障害者補助犬法の成立・施行から20 周年という節目の年を迎えたことを心よりお祝い申し上げます。当初より介助犬・聴導犬の指定法人として補助犬の認定に取り組んできた横浜市リハビリテーション事業団も同年創立から35 周年を迎えます。当事業団は、地域の諸機関と連携し、乳幼児期から成人期・高齢期まで、障害児・者の方々のライフステージに応じた療育サービスやリハビリテーションサービス等の事業を展開してきました。補助犬法における「自立」と「社会参加」はリハビリテーションを担う私たちにとっても大きな目標となることから、当事業団は専門職のチームアプローチによる相談・訓練事業所との合同訓練・認定に一貫して取り組んできました。補助犬の認定のあり方は時代にニーズに応じて検討が必要になります。リハビリテーションの視点から補助犬が当たり前に活躍する社会の実現に向けて指定法人の役割を今後も果たしていきたいと思います。【写真:施設の外観】 〇社会福祉法人 日本聴導犬協会 1996 年。「保護犬からの聴導犬育成」を目指し、長野県伊那保健所の推進と英国聴導犬協会の指導をうけて日本聴導犬協会が創設。障がいのある方との「共感、協働、共生」を使命に「希望者が求める聴導犬と介助犬育成」の継続は、ひとえに法制定に携わった議連のみなさまのお力添えの賜物です。2020 年、厚労省主催の検討会において、医療専門家と訓練の専門家である訓練士との協力体制への大きな可能性を痛感。海外では、補助犬訓練士は、糖尿病やてんかん、認知症などの国家研究機関との協働により、医療の前進にも寄与する例も多く、尊敬を得る存在です。20 周年を機に、聴導犬& 介助犬訓練士の社会的地位向上のため、数は限られますが育成団体間での「聴導犬&介助犬訓練士基準」の検討を進めております。今後も、育成団体の声を活かし、ユーザーと社会から求められる聴導犬と介助犬育成のために精進を重ねてまいります。議連の方々からの永続的なご支援を重ねてお願い申し上げます。【写真:協会イベントの様子】 〇社会福祉法人 日本介助犬福祉協会 身体障害者補助犬法ができて20 年。当時はブームが巻き起こり、数年間は盛り上がりましたがそのブームも徐々に去り補助犬数も伸び悩みました。一方で学校教育の場などでも取り上げられる様になり幅広い世代に浸透していくフェーズに入っていったと記憶しております。20 年たった現状は、当時思い描いたビジョンとは少しかけ離れたものではないでしょうか。補助犬数も減少傾向が続いており、残念ながら思ったほど補助犬が普及しているとは言い難いように思います。このままでは、業界、行政、そして立法に関わった方々の努力の結晶である補助犬法が単なる自己満足の法律で終わってしまいます。本当に助けが必要な方に補助犬を届けるためにも、今後のビジョンはより実現性の高いものが必要ではないでしょうか。それには育成と認定を、行政が支える十分な環境整備が不可欠だと私は思っております。ここからが補助犬の新時代。関係者一同力を合わせて新時代を切り開いていければ嬉しい限りです。【写真:ドアを開ける介助犬】 〇公益社団法人 日本聴導犬推進協会 聴導犬があたり前の社会を目指して……。良質な聴導犬を育成し、聴覚障がい者の自立と社会参加の支援を行い、聴導犬を啓発することで聴覚障がい者が安心して暮らせる社会・人と動物が共生できる社会を目指しています。この度、身体障害者補助犬法20 周年記念誌の発行に、心よりお慶び申し上げます。日本聴導犬推進協会は、日本で最初に聴導犬を育成してきた団体から事業を引継ぎ、今日まで活動を続けてまいりました。補助犬法が施行される前、聴導犬はペットとして扱われ、家庭内での音と外を歩くときに自転車や車の音を知らせるだけの存在でした。そのような状態から補助犬法が施行されたことで、聴覚障がい者の体の一部として常に寄り添い自立と社会参加を手助けする聴導犬となりました。まだまだ認知度も低く、スムーズな社会参加とはいかない面もありますが、聴導犬を普及させること、良質な聴導犬を育成していくことを続けてまいりたいと思います。【写真:聴導犬(中型のミックス犬)】 〇特定非営利活動法人 ウェルフェアポート湘南 ウェルフェアポート湘南(神奈川介助犬聴導犬協会)は非常に零細な育成団体ではありますが、継続は力なりの思いで補助犬を必要とする障がい者への安全かつ有益な補助犬の貸与を通じ、バリアフリーな社会を目指した活動を地道に行っています。身体障害者補助犬法20 周年を迎える今、あらたまって法制化される以前からの活動を思い返すと感慨深いものがあります。これまで補助犬に関わってこられた皆様のご尽力に敬意と感謝を表すとともに、現在の課題をしっかりと見据え、これからの良好な発展に寄与したいと思います。【写真:合同訓練の様子、当協会では様々な特性を考慮し、介助犬としてスタンダード・プードルやスムースコリーといった犬種を導入しています。】 〇社会福祉法人 日本介助犬協会 日本介助犬協会は、肢体不自由者がより楽しく生活を送るために、少しでも日常の不便や不自由から解放されるために、社会参加をするために、介助犬の育成・普及・啓発活動を続けています。身体障害者補助犬法成立から20 年が経ち、私たちは、自分たちの行っている事業についてその意味を改めて考え、これから協会として歩むべき姿を思い描くことにしました。「人にも動物にもやさしく楽しい社会を目指して」の事業理念のもと、「介助犬とともにいつでもどこでも一緒に暮らせる地域共生社会の実現」を目標に掲げ、「犬の可能性を信じ、一人ひとりのニーズに寄り添って歩む」を基本姿勢としました。そして「人と犬をつなぎ、和を創るプロフェッショナル集団である」ことを社会的役割や価値でありたいと考えました。ノーマライゼーションされた社会で、介助犬を連れていることでの障壁もない、誰もが暮らしやすい社会を目指し、これからも邁進いたします。最後になりましたが、「身体障害者補助犬を推進する議員の会」の先生方、事務局の皆様、20 年間お支えいただきありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。【写真:協会職員の集合写真】 〇特定非営利活動法人 日本サポートドッグ協会 身体障害者補助犬法が制定されて早や20 年の歳月が流れました。その間には、大きな災害もあり人々の意識も大きく変わり、私たち補助犬育成団体においても様々な変化がありま した。今後、補助犬が日本の社会に広く認知され受け入れられていくために、そして育成者が安定して良質な補助犬を提供していくために、そして何よりも補助犬を必要とする人々のためにしっかりと見直していく必要があるでしょう。私どもの協会ではこれまでに多くの使用希望者に対して介助犬と聴導犬を貸与してまいりました。それこそ、その方の人生を変えるほどに素晴らしい役割を果たした犬もおります。20周年を思い振り返ると、「補助犬」として送り出した犬たちの姿が浮かびます。一生懸命に音を知らせ、物を運び、ただ褒められることでさらに頑張ろうとする姿です。私達は、今後も「犬」という素晴らしき友と共にさらなる精進をしてまいりたいと思っております。【写真:講演の様子】 〇認定特定非営利活動法人 兵庫介助犬協会 当会は2005 年3 月に設立され、兵庫県西宮市で兵庫介助犬協会を、千葉県船橋市で千葉介助犬協会を運営しています。介助犬の提供により肢体不自由者の自立と社会参加をサポートすることをミッションとして活動を続けてきました。身体障害者補助犬法が成立してからこの20 年で、携わる皆様のご尽力により補助犬に対する認知は広まった一方で、実働数はいずれの補助犬も減少傾向です。増えない理由として複合的な要因があると感じていますが、その一つであり根源的なものとして日本社会の峻厳さがあるように思います。補助犬法ができたことで補助犬を連れて施設や店舗を利用する使用者は以前より円滑に受け入れられるようになりました。同時に、補助犬を連れて社会参加することが認められる人が限定されたようにも思います。今以上に補助犬に対する潜在的なニーズを掘り下げられるよう、皆様のお知恵をお借りしながら課題に取り組み、普及の一助となれるようこれからも邁進します。【写真:パブリック訓練の様子】 〇一般社団法人 ドッグフォーライフジャパン  「補助犬との出逢いで障害のある方の人生を変えたい」「誰もが活き活きと活動する障害のない社会作り」が当会のビジョンです。身体障害者補助犬法が施行されたことで補助犬と補助犬ユーザーの権利が法の元で保証され、社会参加ができる環境になったことは素晴らしいことだと思います。しかし、施行20 年経った今でも同伴拒否や差別が後を絶たず、社会に周知されていないのが現状です。また、介助犬・聴導犬の実働数も依然60 頭前後と増えないことは日本の介助犬・聴導犬業界にとって危機的な問題であると感じています。この現実を真摯に受け止め、今までの啓発・育成や認定制度の抜本的見直しを皆様と取り組んでいきたいと思います。【写真:介助犬、聴導犬(コッカプー)の訓練犬】 ユーザーの会 〇北海道盲導犬ユーザーの会 1975 年(昭和50 年)、北海道盲導犬ユーザーの会が発足しました。目的は、盲導犬の社会的地位の向上、盲導犬の普及啓蒙、会員相互の親睦です。具体的には、ユーザーが参加しての街頭募金、小学校での出前講座、視覚障害者協会での説明会などです。この間、もっとも大きな出来事は、身体障害者補助犬法の成立により、盲導犬と共に自由に社会参加する権利を獲得しました。これは、我々の人権が認められた画期的な出来事でした。身体障害者補助犬法成立に感謝します! 〇東日本盲導犬協会同窓会 〜 一人ぼっちでない大きな家族 東日本盲導犬協会の「同窓会」~麗らかな季節の中、補助犬法施行20 周年を迎えられたことに、心から感謝し、御礼申し上げます。これからも続くであろう障がい者への差別や盲導犬への理解不足。先達のいままでのご苦労が瞼の奥に蘇ります。15年前のひとりぼっちの寂しくて暗い心の中に飛び込んできた「盲導犬」! 一生、盲導犬と暮らそう!と決めました。東日本盲導犬協会の皆さん、家族、ボランティアなど、温かなまなざしを体いっぱいに浴びて、盲導犬ユーザーの皆と時間が足りないくらいお話をして、いとおしいパートナーが優しく見守る。こんな贅沢な生活を有難く思う。仲間もいる。「同窓会」というひとつの大家族である。だいじょうぶ! 皆で支えあおう!笑顔で! 〇日本盲導犬協会ユーザーの会 じめに、補助犬法成立20 周年に感謝申し上げます。本会は、日本盲導犬協会より貸与を受けているユーザーの集まりです。その目的は、会員同士の交流を図り、結びつきを強めることにあります。各地に散在する会員が、盲導犬と暮らす中でのそれぞれの悩みや苦慮していること、盲導犬歩行における周囲との関わり方の変化や対応を、知識や経験を持ちより、より良い歩行に繋げていく。何より豊かで楽しいウォーキングライフを求め、行きたい時に行きたい場所へいつでも行けると言うスローガンを実現する役目を果たす場でありたい。各団体との協和と共存の質の向上を目指し、社会に発信する力として担うべく存在していきたいと考えております。身体障害者補助犬法は、社会全体のみならず、私たちを取り巻く世間の変革要員として大きな力となり、未来への更なるベクトルとして、これからも共に歩み続けてほしいと願っております。 〇全日本聴導犬ユーザーの会 身体障害者補助犬法施行20 周年 議連のみなさまに感謝とお願いを申し上げます。補助犬法による聴導犬への権利取得は「聴覚障がい」支援への拡大につながりました。議連のみなさまに、会員を代表してお礼申し上げます。当会は、希望者およびユーザーからの相談を受けてきました。例えば、聴導犬の申請窓口(市町村)の担当者から「2 年以上待つことになる。あきらめた方が良い」「聴導犬は知らない」などの申請拒否の例が挙がりました。また、無償貸与であっても、聴導犬貸与後の食費や医療費を考えると躊躇する例も多く、予防薬補助以外の補助犬の健診や治療費補助などの実現にも、引続きみなさまからのお力添えをお願いいたします。 〇中部盲導犬協会ユーザーの会「あけびの会」 当会は、1980 年に中部盲導犬協会を卒業した盲導犬ユーザーによって結成された会です。  その目的は、会員相互の親睦と盲導犬に関する情報提供をしあい、盲導犬とのよりよい生活の向上をめざし、社会に向けて盲導犬による移動の自由とそのすばらしさ、その可能性を広めていくこととしています。募金活動、サポーター講習会、ハイキング、各種交流会、盲導犬慰霊祭( 春、秋) などを行っています。 〇関西盲導犬協会盲導犬ユーザーの会「つつじの会」 当会は1996 年にユーザーの有志によって発足して以来、会員の親睦・盲導犬の啓発を目的に学習会、チャリティーコンサート、関西を中心に遠方は富山や広島への研修旅行などを多くのみなさまに支えていただきながらユーザー主体で行ってきました。当初は宿泊先などの確保にも苦労しましたが、今では暖かく迎えていただけることが多くなり、会の行事に参加しなくても個人で気軽に旅行やコンサート、外食を楽しむことができるようになりました。補助犬法成立にご尽力くださったみなさま、道のりを築いてくださった先輩諸氏に心より感謝申し上げます。 ■身体障害者補助犬実働頭数(都道府県別)(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部2021.10.1 現在) 〇盲導犬 861頭 介助犬57頭 聴導犬61頭 都道府県、盲導犬(頭数)、介助犬(頭数)、聴導犬(頭数) 北海道 41 1  0 青森県 6 0 0 岩手県 8  3 0 宮城県 26  1 0 秋田県 11  1 0 山形県 6 0 0 福島県 19 0 0 茨城県 17 0 0 栃木県 10  1 0 群馬県 8  1  1 埼玉県 46  3  5 千葉県 26  2 0 東京都 98  9  16 神奈川県 66  6  7 新潟県 26  0 1 富山県 6 0 0 石川県 13  1  1 福井県 6 0 0 山梨県 18 0 0 長野県 17  1 0 岐阜県 7  1 0 静岡県 33 0  2 愛知県 35  3 0 三重県 9  1 0 滋賀県 13  1  3 京都府 10  3  3 大阪府 55  8  9 兵庫県 35  2 0 奈良県 15 0  6 和歌山県 4 0  3 鳥取県 5 0 0 島根県 12 0 0 岡山県 16  3 0 広島県 18  1 0 山口県 16 0 0 徳島県 4  2  1 香川県 7 0 0 愛媛県 10  1  2 高知県 6 0 0 福岡県 24 0 0 佐賀県 5 0 0 長崎県 4 0 0 熊本県 4 0 0 大分県 10 0 0 宮崎県 10 0 0 鹿児島県 11 0 0 沖縄県 9  1  1 合計 861  57  61 盲導犬:根拠法令 道路交通法施行令第8 条2 介助犬、聴導犬:根拠法令 身体障害者補助犬法第16 条 * 盲導犬実働頭数については、社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会自立支援施設部会盲導犬委員会による年次報告書( 2021年3月31日) 【写真:盲導犬、聴導犬、介助犬が並んでいる様子】 ■身体障害者補助犬実働数の推移 (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部) 〇盲導犬(頭数) ・平成21年 1070 平成22年 1067 平成23年 1043 平成24年 1013 平成25年 1010 平成26年 984 平成27年 966 平成28年 950 平成29年 950 平成30年 928 令和1年 909 令和2年 861 社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会自立支援施設部会盲導犬委員会による年次報告書(毎年度4 月末付)より抜粋(各年度3 月末時点のデータ) 〇介助犬 ・平成22年 46 平成23年 53 平成24年 58 平成25年 62 平成26年 71 平成27年 71 平成28年 73 平成29年 75 平成30年 75 令和1年 68 令和2年 69 令和3年 63 〇聴導犬 ・平成22年 19 平成23年 29 平成24年 35 平成25年 42 平成26年 55 平成27年 57 平成28年 64 平成29年 71 平成30年 74 令和1年 65 令和2年 62 令和3年 60 指定法人から厚生労働省へ報告があったもの(各年度4 月1 日時点のデータ) ■介助犬の平均寿命 「日本介助犬使用者の会」調査(2021 年4月8日調査) 〇介助犬の平均寿命は13.0歳(最高齢は17.2歳) 〇介助犬の平均寿命のグラフ 13.0歳(N=42頭) 没年齢、頭数 5歳 3頭、6歳 0頭、7歳 2頭、8歳 0頭、9歳 1頭、10歳 2頭、11歳 4頭、12歳 7頭、13歳 4頭、14歳 7頭、15歳 7頭、16歳 4頭、17歳 1頭 盲導犬の平均寿命12.9 歳(全国盲導犬施設連合会ほか、2006 年)や、純血種の飼い犬の12.8歳(純血種12.8 歳、雑種14.2 歳、全体13.2 歳/東京農工大学大学院ほか、2014 年)と同程度でした。「盲導犬や介助犬などの補助犬は、飼い犬に比べて短命」と誤解している人がいますが、補助犬も飼い犬も同じくらいの寿命です。 〇犬種、頭数、平均寿命の表 犬種、頭数、平均寿命の順。ラブラドール犬 29頭 13.1歳、ゴールデン犬 5頭 12.3歳、F1雑種 4頭 12.9歳、スタンダードプードル 2歳 12.2歳、ホワイトシェパード 1頭 15.5歳、雑種 1頭 12.8歳、合計 42頭 13.0歳 〇性別、頭数、平均寿命の表 性別、頭数、平均寿命の順。オス 24頭 13.2歳、メス 18歳 12.6歳、合計 42 13.0歳 ■海外からの補助犬ユーザー対応ガイドライン作成に至るまで〜東京パラリンピックと補助犬〜 東京パラリンピックには、4 頭の盲導犬が選手団の一員として参加しました。開会式で堂々と入場する様子は、国内外のメディアでも取り上げられました。本来であれば、もっと多くの補助犬ユーザーが来日し、日本中を旅行してくださることで、本当の意味のインクルーシブを日本社会が体感するチャンス!と思っておりましたが、コロナ禍でそれが叶わなかったことは非常に残念でありました。 とはいえ、東京パラリンピックに向けた、海外補助犬ユーザーの入国プロセスが確立したことは大きな進歩であり、今後のグローバル化が進む中で重要な役割を果たすと考えます。次のチャンスは2025 年の大阪万博。多くの補助犬ユーザーたちが安心して来日されるよう、引き続き尽力してまいります。 <ガイドライン作成に至るまで> ・2005年 愛知万博における海外からの補助犬ユーザーの受け入れに関するポリシー」作成。当時の補助犬議連 橋本龍太郎会長の呼びかけでプロジェクトチームが立ち上がる。補助犬法は国内法であり、海外から来日する補助犬ユーザーのアクセス権がない。同伴拒否が起こらないよう、且つ、日本は世界の中でも数少ない狂犬病清浄国であるため、検疫制度と正しく連動させた入国におけるポリシーづくりが必要であった。当時の内閣府審議官、厚生労働省(補助犬法担当)、経済産業省(万博担当)、農林水産省(検疫担当)、国土交通省(公 共交通機関・宿泊施設担当)等の関係者を集めプロジェクトチーム発足。受け入れポリシーが初めて作られる。 ・2017年 厚生労働省平成29年度障害者総合福祉推進事業にて「国内外の身体障害者補助犬使用者への対応に関する調査研究」実施 ・2018年 厚生労働省「海外から渡航してくる補助犬使用者への対応ガイドライン」作成。 日本における身体障害者補助犬法による信用を確保しつつ、海外から渡航してくる補助犬使用者が日本国内の施設等を円滑に利用できるよう、国家公安委員会指定法人、厚生労働大臣指定法人が、海外から渡航してくる補助犬使用者に対して行うべき対応を、ガイドラインとしてとりまとめた。また、海外向けのポータルサイトを作成し、関係省庁と連携して周知した。 ・2021年 東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催。残念ながら、新型コロナウィルス感染症拡大防止の為、当初の予定よりはかなり少ない補助犬ユーザーの来日となった。結果として、カナダから1 頭、イスラエルから3 頭の盲導犬が選手であるユーザーとともに来日。新しい入国プロセスに則った受け入れが実行された。 【表 ※ 厚生労働省 海外向けポータルサイト"Assistance Dogs for Persons with Physical Disabilities"Portal Site https://www.mhlw.go.jp/english/policy/care-welfare/welfaredisabilities/assistance_dogs/index.html ※ 農林水産省動物検疫所 Quarantine system for dogs and cats (import) http://www.maff.go.jp/aqs/english/animal/dog/index.html ■身体障害者補助犬を推進する議員の会 名簿 (2022 年3 月1 日現在 61 名) 〇自民党  衆議院 (22) 逢沢 一郎、岩屋 毅、大西 英男、柿沢 未途、上川 陽子、神田 憲次、北村 誠吾、工藤 彰三、後藤 茂之、櫻田 義孝、笹川 博義、鈴木 英敬、鈴木 淳司、田中 英之、田村 憲久、中谷 元、橋本 岳、藤井 比早之、船田 元、松野 博一、御法川 信英、宮下 一郎 参議院 (7) 石田 昌宏、今井 絵理子、小川 克己、大家 敏志、尾辻 秀久、羽生田 俊、松下 新平 〇立憲民主党 衆議院 (8) 阿部 知子、大河原 雅子、逢坂 誠二、篠原 孝、中川 正春、松木けんこう、笠 浩史、早稲田 ゆき、 参議院 (5) 川田 龍平、小西 洋之、野田 国義、真山 勇一、横沢 高徳、 〇公明党 衆議院 (4) 角田 秀穂、中野 洋昌、古屋 範子、吉田 久美子 参議院 (6) 下野 六太、杉 久武、竹谷 とし子、平木 大作、安江 伸夫、山本 博司 〇共産党 衆議院 (3) 笠井 亮、高橋 千鶴子、本村 伸子 参議院 (2) 倉林 明子、小池 晃 〇国民民主党 衆議院 (2) 玉木 雄一郎、西岡 秀子 参議院 (1) 芳賀 道也 〇みんなの党 衆議院(0) 参議院(1) 浜田 聡 〇人事 会長 尾辻 秀久(自民)、幹事長 田村 憲久(自民)、幹事 古屋 範子(公明)、幹事 篠原 孝(立民)、幹事 小西 洋之(立民)、幹事 高橋千鶴子(共産)、事務局長 阿部 知子(立民)、事務局 橋爪 智子(日本補助犬情報センター専務理事) ■フォトメッセージ 〇補助犬とともに生きる(見開き左ページ) 以降、写真の説明 【雲一つない青空の下、介助犬が車いすに乗る介助犬ユーザーの腕にタッチしている後ろ姿】 【ユーザーの足元に伏せる聴導犬(雑種)がカメラを見ている。奥には盲導犬も伏せている】 【いすに座るユーザーの膝に顎をのせる盲導犬】 【階段をユーザーと一緒に降りる聴導犬】 【15名ほどの盲導犬ユーザーが斜め上を見て並んでいる様子】 【10名ほどの盲導犬ユーザーの集合写真】 【マリオネット(操り人形)と顔を見合わせる盲導犬】 【ユーザーの足元で伏せる3頭の盲導犬】 〇補助犬使用者の自立と社会参加のためにこれからも…。(見開き右ページ) 以降、写真の説明 【車いすのユーザーと介助犬が聖火リレーに参加している様子】 【ユーザーと盲導犬が階段を下りる様子】 【車いすのユーザーの膝に介助犬がタッチしている様子】 【海の見える場所でユーザーと介助犬、ペットの犬が触れ合っている様子】 【ユーザーの膝に聴導犬(トイプードル)がタッチしている様子】 【ユーザーと聴導犬(雑種)、家族の記念写真】 【青空の下、花畑を背景に空を見上げるユーザーと盲導犬】 【青空の下、黄色い花と一緒に映る聴導犬】 【施設の前で横に並んでいる30名ほどの盲導犬ユーザーの記念写真】 ■編集後記 身体障害者補助犬を推進する議員の会に関わってくださったすべての先生方に、20 年という長きに渡り補助犬を支え活動を継続してくださっていることに、心より敬意を表し、感謝申し上げます。当時の橋本龍太郎会長が「議員立法は10 年は見届けなくてはダメ」と仰ってくださったことで、今もなお継続している補助犬議連であります。当会の前身である日本介助犬アカデミーの時代から、本当に多くの当事者をはじめとする皆様方の温かく強いお力添えにより支えられての今日があると、補助犬法成立から20 年を迎える今、改めてすべての方々に感謝申し上げます。私の活動のベースは、まさに2002 年の補助犬法成立の日、国会議事堂へのアテンドをする道すがら、補助犬ユーザーの皆さまから生のご指導をいただいたところからスタートしました。補助犬の素晴らしさ、そして障害理解の大切さ、面白さを教えていただきました。日本が障害理解における真の先進国になるよう、全国の補助犬ユーザーの皆様とともに、更に前進して行きたく思っております。補助犬たちの愛に満ちた存在は、世界中に平和を伝えるシンボルでもあると感じております。新たなる10 年に向けて、関係者一丸となって前進していく所存でございます。今後ともご支援ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。 身体障害者補助犬を推進する議員の会 共同事務局 橋 爪 智 子(特定非営利活動法人 日本補助犬情報センター専務理事兼事務局長) ■奥付 身体障害者補助犬法成立 20 周年記念誌 補助犬法20 年のあゆみ 発行日 2022 年5 月22 日  発 行 身体障害者補助犬を推進する議員の会  発行者 尾辻 秀久(身体障害者補助犬を推進する議員の会 会長)  ●編集協力:宮村美帆  ●デザイン・印刷・製本:株式会社協進印刷  ●製作協力:議連共同事務局 日本補助犬情報センター事務局