ホーム > 理事通信 > 第7回「建設的対話こそ共生社会を開くカギ ~障害者差別解消法施行を受けて~」
2002年に身体障害者補助犬法が施行され、15年目の2016年4月、障害者差別解消法が施行されました。
障害者白書によると、日本には、身体障害者393.7万人、知的障害者74.1万人、精神障害者320.1万人、合計787.9万人。総人口1億2千万人の約6%、およそ16~17人に1人が何らかの障害がある方、ということになります。
世界的に見ると「One In Ten」という言葉が在ります。10人に1人と言われています。そんな社会に私達は住んでいるのですが、残念ながら、日本という国は、物理的なバリア「ハード」面ではとても進んでおり、評価されていますが、心のバリア「ソフト」面は、まだまだなのが現状です。個人的には、日本特有の『奥ゆかしさ』や、『隠匿の美』的な感覚が、ブレーキをかけてきたのではないかな~と感じています。
そんな中、ようやくわが国も障害者権利条約に批准し、障害者差別解消法を施行することで、インクルーシブ社会先進国のスタート地点に立てました。いよいよ、これからが本番です。2020年東京オリンピックパラリンピック開催は、障害者理解を深める、千載一遇のチャンスだと感じていますので、社会全体でこの機運を盛り上げて行ければ!と思っています。そのためにも、私達 補助犬関係者は、『補助犬』の普及啓発を切口として、障害のある方々の事を社会に対して広く発信し、真のインクルーシブ社会実現のため、更に力を合わせていかなければならないと感じています。その取り組みをするためにも、障害者差別解消法の正しい理解が必要です。障害者差別解消法と「基本方針」のポイント♪
1.みんな違ってみんないい!
法の目的は「障害を理由とする差別の解消を推進することによって、(中略)全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資すること」(1条)とされています。 この、『相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会』これこそまさに、補助犬法の精神と同じだと感じます♪
2.障害を理由とする不当な差別的取り扱いの禁止
行政機関や民間事業者(事業者、病院、学校、PTA、町内会etc…)に対し、「障害を理由として障害者でない者と不当な差別取扱いをすること」を禁止(7条1項、8条1項)
つまり、どんな場面でも、ということがわかると思います。ちなみに、『補助犬の同伴拒否』はこの「障害を理由とする不当な差別的取り扱い」に当たります。
3.合理的配慮の提供
行政機関や民間事業者は、障害者からの申出があった場合、過重な負担とならない限り、当該障害者に対し合理的配慮を行わなければならないと定められた(7条2項、8条2項)
「基本方針」には合理的配慮の例として次のようなものがあげられています。
となっています。
残念ながら、この合理的配慮には、「わかりやすい正解」はありません。なぜなら、1人1人が必要としている配慮は、それぞれ違うからです。ですので、最も大切なことは、「何かお手伝いしましょうか?」の一言がかけられるかどうか?なのです。
ぜひ、皆さん、障害のある方々に出会えたら、そして、その方が困っている様子だったら、是非「何かお手伝いしましょうか?」の一言を♪そして、提示されたサポートを、無理の無い範囲でお願い致します。決して「特にお願いしたいことはありません」と言われても、ガッカリしないで下さいね♪必ず、また、チャンスはありますので♪ (第17回・理事通信)