ホーム > UDアドバイザー通信 > 第16回「情報アクセシビリティの充実に向けて」
現在放送中のドラマ、Silent(サイレント)で活躍している「UDトーク」が話題になっていますが、当会でも様々な形で「情報アクセシビリティ」の充実に向けて取り組んでいます。
今回は、当会が大切にしている「情報保障」について、当会理事の松本よりご紹介したいと思います。
私たち日本補助犬情報センターは、補助犬の育成を行なっている団体ではありません。また障害当事者の団体でもありません。補助犬と暮らす(あるいは補助犬を希望する)障害当事者と、補助犬を育成する人々(団体)、そして、それらを取り巻く社会の人々・企業・団体・地域をつなぐ第三者機関として、補助犬と関わる人々を含めたすべての人が暮らしやすい社会を目指した活動をしています。
そんな「すべての人々」の中に、私たちが当たり前のように得ている情報を得ることができない、あるいは得にくい人々がいます。
その代表的なものといえるのが、視覚に障害がある方にとって視覚情報、聴覚に障害がある方にとっての聴覚情報です。
補助犬に関わる活動であれば、必然的に視覚障害、聴覚障害の方達と関わることになります。すべての方にできる限り、等しく情報を提供したい、しなければならない!ということから、当会の「情報アクセシビリティ」への挑戦が始まりました。
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「障害者のアクセシビリティ」というと、段差の代わりにスロープを、階段の代わりにエレベーターを、というような移動上の困難解消、つまり、「行きたい場所」へのアクセスを指すことが多いと思います。けれども目的地にたどり着くためには物理的な移動だけでなく、「情報」が必要になります。当会では、「情報」を提供するにあたり、この情報アクセシビリティを考慮した活動になるよう心がけています。
まず、視覚に障害がある方への情報提供に関しては、読み上げソフトなどで読めるようなテキストファイルでの提供などに取り組んでいます。もちろん、必要に応じ、外注で点字資料を用意することもあります。まだまだ機材や予算の関係で十分に対応できない点もありますが、当事者の皆さんの声を聞きながら、できる限り取り組んでいます。
また、聴覚に障害がある方へは、これまでもイベント等には手話通訳を配置してきましたが、中途失聴や難聴など手話を母語とされない方も多くいる現実もあるため、文字情報(字幕)の提供も行うこととし、数年前から、「コミュニケーション支援・会話の見える化アプリ」【UDトーク(ユーディートーク)】 を導入しています。
UDトークは音声を認識し、リアルタイムで文字化するアプリで、聴覚障害当事者の方がコミュニケーションツールの一つとして活用しているアプリですが、当会では、「話し手が伝えたい内容・情報を、聴覚に障害がある方に伝えるため」のツールとして、捉えています。このアプリを導入したことで、対面・オンラインの講演やイベントでリアルタイムに字幕を表示させることができ、より多くの方の参加への後押しとなっています。実際に、「字幕のおかげで、話の内容がきちんと伝わり、理解ができた」などの声をいただいています。
さらに、UDトークでは、リアルタイムでの字幕化だけではなく、ログ(記録)として残すこともできます。そこから映像等の字幕データも作ることができるため、動画への字幕付けも簡単にできてしまうんです!
こちらの動画もUDトークを使って字幕データを作成しています。
もちろん、コミュニケーションツールとしてもフル活用しています。事務局スタッフは手話の習得が挨拶程度の初心者レベルですが、理事の松本だけでなく、聴導犬ユーザーの方たちと、筆談ならぬスマホ談に花が咲くのも、このようなツールのおかげと言えます。
また、UDトークはリアルタイムに翻訳もできるため、聴覚障害者のみならず、同じように情報を得づらい外国人の方々への対応にも活かしていくことも考えています。
私たちは補助犬ユーザーを通して、このような「情報アクセシビリティ」を考えるようになりました。そして、企業研修などの場において、実際にUDトークを運用することにより、「情報アクセシビリティ」の大切さをお伝えしています。
私たちが発信する情報は、それを受け取ってくださる方がいて、初めて意味のあるものになります。限られた予算と人手の中で、すべて完璧に対応することは難しく、もどかしさを感じる時もありますが、さまざまなツールも活用しながら、これからも一人でも多くの方に正しく役に立つ情報を伝えていきたいと思っています。
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誰でも簡単に使えるUDトーク、ぜひこれを機会に皆さんもチャレンジしてみては?UDトークの公式ウェブサイトもぜひご覧ください。
また、当会では【補助犬や福祉関連の内容】に限り、イベントや会議でのUDトーク運用のサポートや運用を行っています。(日時や内容によっては対応できかねる場合もございます)
運用に関してご興味のある方は、お問い合わせフォームからご連絡ください。