2022年12月5日(月)盲導犬、介助犬、聴導犬使用者の皆さんと、身体障害者補助犬を推進する議員の会(共同事務局:日本補助犬情報センター)で、岸田総理大臣表敬訪問を行いました。
様々なニュースが溢れる中、ほとんどメディアに取り上げられることはありませんでしたが、12月5日、補助犬ユーザーとして、パートナーの聴導犬チャンプ、そして補助犬仲間たちと一緒に、岸田総理大臣を表敬訪問してきました。5月20日の身体障害者補助犬を推進する議員の会主催の補助犬法20周年記念シンポジウムの頃から、「今年は20周年の節目の年として、ぜひ総理表敬訪問をしたい!」ということで、議連の先生方にお願いをしていました。しかし、ウクライナへの軍事侵攻を始め、激動の一年となり、半ば諦めかけていたところ、多くの方のご協力で無事に実現することができました。とてもありがたいことです。
当日は、日本介助犬使用者の会 会長の木村さん、日本聴導犬パートナーの会 代表の安藤さんが関西から、全日本盲導犬使用者の会 会長の山本さんと私、松本(日本聴導犬パートナーの会 副代表)が都内から議員会館に集合。シンポジウムなどで何度か入館したことがありますが、たくさんの警備員さんを見ると、やはりピリッと緊張します。入館証を手に建物内へ。多くの人が行き交いますが、やはり犬の姿は目立ちます。廊下ですれ違う方も、エレベーターでご一緒した方達も、思わず「二度見」、目があった時は「ニコッ」スマイル。色々なところで、話題にしてくださるといいなぁ、と思いました。
控え室で、議連事務局のスタッフと打ち合わせ。忙しい総理からいただいたお時間は15分。大事に使いたいね!とユーザー仲間と話しました。そして、議員会館から、お隣の総理官邸へ移動。あいにく雨が降り始めましたが、緊張した面持ちで入館の手続きを行いました。
表敬訪問、と言っても、単に「こんにちは!」とご挨拶に行くわけではありません。行政府トップの総理大臣に「要請書」を渡すというのが目的です。
今回の要請の要点は以下の通り。
①補助犬法啓発施策の拡充
②補助犬の育成、医療費等の助成制度の拡充
③同伴拒否に対する施策の検討
(要請書の詳細は活動実績でもご紹介しています)
残念ながら、10年前の野田総理訪問、8年前の安倍総理訪問の時と大きな違いがありません。つまり、月日は流れましたが、あまり進展してないということでもあります。残念ですが。
↑野田総理表敬訪問2012.5.22
↑安倍総理表敬訪問 2014.5.22
補助犬法20周年ということで、今回は20年前の補助犬法成立に立ち合った当時の使用者の会代表と現在の使用者の会の代表、全5名(介助犬は新旧共に木村さん)が揃い踏みの予定でしたが、20年前からの朋友・盲導犬ユーザーの清水さんの都合がつかず、4名という形になりました。
官邸に入って、総理にお会いする部屋に向かう途中、よくニュースなどで総理や大臣が通ってフラッシュがパシャパシャされるところを通過。私たちにもパシャパシャ!!もちろん補助犬たちは落ち着いたもので、むしろカメラ目線?というくらい、胸を張って堂々、通過しました。
お部屋に入ってからも、人間たちの緊張とは対照的に犬たちはリラックスモード。
総理の登場を待つ補助犬とユーザー4ペア。総理が入ってこられてもみんなノンビリ。たくさんの報道の人たちがいたのに、羨ましいくらい。さすがです。
議連会長の田村憲久先生から今回の訪問の趣旨や私たちの紹介をしていただき、そのあと、4人順番に要望書の内容と想いをお話しさせていただきました。
↑総理に向け、一人一人想いを伝えました
↑議連の先生方もご一緒に。
今回、事務局長の阿部知子先生がご欠席だったのはとても残念でしたが、議連の先生方のご尽力で実現した表敬訪問でした。ありがとうございました!
なお、今回、手話通訳を橋本一郎さんにお願いしていたので、私と安藤さんも、総理や先生方の言葉もしっかりお聞きすることができましたし、安藤さんの手話もしっかり皆さんに伝わりました。このような政府の会談、外国人のお客さんの場合は当然つく「外国語の通訳」と同じように「手話通訳」がいるのも当たり前って、思ってもらえると嬉しいなぁということを安藤さんとも話していました。(手話が母語でない私としては、UDトークでの音声認識字幕も欲しかったという気持ちもありますが。次回があれば?リベンジ!!)
ともあれ、とうとう実現した補助犬法20周年節目の総理表敬訪問。これですぐにすべての課題が解決するということはないかもしれません。しかし、総理もしっかり聞いてくださり、「誰もが安心して暮らせる共生社会の実現のために政府として努力していきたい」と答えてくださいました。
課題があること、残っていることをまずは知っていただくこと、そして、あきらめず、働きかけていくこと。これは政府に対してだけでなく、社会全体に対しても同じかもしれません。
今回の表敬訪問がメディアに取り上げられることはあまりありませんでしたが、官邸をはじめ、議員の先生方もSNS発信などしてくださったことで、確実な足跡となったはずです。
次の表敬訪問(があるならば)その時は「こんなに進展がありました!課題が解決しました!ありがとうございました!!」と、お礼を伝えることができるように…。これからも、小さなことから大きなことまで、いろいろな活動をしていくことが必要だとあらためて感じた一日でした。
お忙しい中、お時間をいただきました岸田総理大臣、手筈を整えてくださった議連の先生方、いつも私たちのお願いに笑顔で完璧サポートしてくださる手話通訳の橋本一郎さん、写真入りの大きな記事にしてくださった福祉新聞さん始め、メディアの皆様、ありがとうございました!
最後に、身体障害者補助犬を推進する議員の会のYouTubeチャンネルで、表敬訪問時の動画が公開されています。要請書を受け取った総理からのコメントの他、訪問後の私たちユーザーからのコメントをまとめた動画です。ぜひ、そちらもご覧ください!