現在、全国で53頭の聴導犬が実働しています(2024年4月1日 厚生労働省調べ)。盲導犬よりも歴史が浅く、まだまだ数が少ないです。
厚生労働白書によると、我が国の聴覚障害者の数は34万人とされていますが、これは身体障害者手帳をお持ちの方だけの数字であり、それ以外にも、難聴者の方は多数いらっしゃいます。老人性難聴の方も含めると、難聴者の人口は、約2000万人とも言われています。
※聴導犬の詳しい頭数については、「聴導犬の頭数【新着】」をご覧ください。
チャイムの音、電子レンジの終了音、洗濯機の終了音、お湯の沸いたやかんの音、キッチンタイマーの音、携帯電話の着信音、FAXが届いた音、お風呂の沸いた音、目覚まし時計、赤ちゃんの泣き声など、生活の中で必要な音を教え、その音源へ誘導してくれます。
私たちは普段、当たり前のように、様々な音から情報を得て生活しています。
聴覚障害者の多くは、腕時計式のアラームの振動や、色々な電子音に反応して室内で光るライト、振動する機械を枕の下に入れたり、様々な機器を使用して「音を知る」工夫をしています。
でも、例えばお洗濯を干している間に室内でライトが光ってもわからない、寝ている間に振動機器が枕から離れてしまったらわからない……など、限界があります。
これら生活に必要な音を教えてくれ、どこで鳴っているのか、音の源まで誘導してくれるのが、「聴導犬」です。“聴導犬”と書かれたケープをつけています。
教え方は、まず教える必要のある音が発生したら、ユーザーさんの近くまで行き、足元をトントンと前足で触れて教えます。ユーザーさんが気づいてくれたら、音源まで誘導します。
目覚まし時計が鳴ったら、起きるまで起こし続けてくれます。方法はその子の得意な動きやユーザーさんのご希望等によりまちまちですが、布団をはいでくれる子もいれば、頭をカリカリかいてくれたり、首の下に入り込んで来てくれる子もいます。
また、外出中は後ろから来る自転車や自動車の音、非常ベルの音を教えてくれます。
そして、もう1つ聴導犬にとって大切なのが、外見上わからない「聴覚障害」という『見えない障害』を、聴導犬と一緒に居ることで『見える障害』に変えてくれる、という役割があります。実際に、電車内で緊急アナウンスが流れても気付けない状況の中で、聴導犬が目印となって『聴覚障害であること』に他の乗客が気付いて下さり、メモに緊急アナウンスの内容を書いて教えていただけたユーザーさんは複数おられます。
聴導犬がいてくれるから、「赤ちゃんを産み育てよう!と思えた」というユーザーさんも複数おられます♪聴導犬がいるから、安心して読書ができる、洗濯物も干せる、寝過ごす心配がないので熟睡することもできます。「当たり前」の生活を、聴導犬によって実現できるのです。
聴導犬には他の補助犬(盲導犬・介助犬)とは違う特徴があります。
盲導犬も介助犬も、ユーザーさんが指示をした作業を行います。でも聴導犬は、ユーザーさんがわかっていない「音」を判断して教える必要があります。つまり、聴導犬だけが、唯一【自発的に作業をする】必要があるということです。