私たち補助犬関係者の努力が足りないのかもしれませんが、身体障害者補助犬法(以後、補助犬法)の認知度は、法律の成立から15年が経った今も低いままです。
盲導犬を知らない人はいませんが、介助犬や聴導犬を知っている人は30%程度、補助犬法の名称も内容も知っている人となると数%という調査結果もあります。
そのため、障害者が補助犬同伴で初めての施設を利用する際には、高い確率で補助犬法の説明や交渉が必要になります。同伴を拒否されても「法律で、補助犬の受入が義務化されていること」を説明して受け入れられれば良いのですが、いくら説明しても同伴を拒否されることもあります。これでは、障害者が補助犬との外出を躊躇しかねず、障害者の社会参加を支援するはずの補助犬が、社会参加を妨げる原因となってしまいます。
同伴拒否を解消するため、厚生労働省や補助犬関連団体などでは、ウェブサイトでの広報だけでなく、啓発イベントの開催、啓発用リーフレット・シールの作成・配付を行なっており、政府インターネットテレビには、啓発ビデオの動画も公開されています。当会でも、情報提供や相談対応のほか、啓発セミナーの開催、啓発用DVD・シールの配布を行っていますが、普及啓発の難しさを実感しています。
学校では、道徳や総合的な学習の授業で、講演を依頼されることが多いです。
小学校ではあまり難しい話はできないのですが、後日送って下さる感想文には、
などと書かれていて、小学生なりにきちんと理解してくれています。
ある時、JRの窓口で新幹線のチケットを購入する際に、次のようなことがありました。
普段は、介助犬のことを伝えても、事務的に対応される方がほとんどなのですが、その方は笑顔でとても優しい対応でした。話しを聞くと、小学生の時に、私とシンシアの講演を聞いてくれており、私が「大人になって、働いているお店に介助犬を連れた方が来られたときには、同伴拒否などせずに、優しく受け入れてくださいね」と言ったのを憶えてくれていたそうです。
レストランや病院などでも同じような経験をしましたし、新聞やテレビの取材でお会いした記者さんやアナウンサーさんから「子どもの頃にシンシアちゃんの講演を聞きました。ずっと介助犬の取材をしたいと思っていました」と言われたこともあります。
子どもの頃に、補助犬について学んだり、補助犬と触れ合った経験のある人は、相手の気持ちを優しく受け入れる姿勢が自然に身につくように思います。
子どもの頃に学ぶべきことは、補助犬だけでなく他にもたくさんありますが、補助犬は子どもたちが関心を持ちやすく、福祉や障害者の理解にもつながると思います。
身体障害者補助犬を推進する議員の会や文部科学省には、学校での障害者への理解を深める「心のバリアフリー」を充実させるなかで、学習指導要項へ補助犬に関する内容を盛り込むことをお願いしています。 (第13回・理事通信)
講演対象 | 小学校 | 中学校 | 高等学校 | 大学 専門学校 |
企業等の 研修など |
百貨店等 での イベント |
一般講演 福祉フェア その他 |
合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
回数 | 92回 | 26回 | 38回 | 49回 | 43回 | 23回 | 362回 | 633回 |
延べ人数 (概算) |
30,700 人 |
12,600 人 |
10,300 人 |
6,900 人 |
5,200 人 |
3,200 人 |
36,300 人 |
105,300 人 |