ホーム > 理事通信 > 第27回「ほじょ犬フレンドリー祭りin YOKOHAM」~後編~
2日目、私の仕事はグッズ販売。
期間限定販売のJamminさんとのコラボTシャツ&松本さん手作りのオリジナルグッズが所狭しと並びます。ボランティアで参加してくれた学生さんや子供たちが、工夫を凝らして販売やチラシ配布のお手伝いをしてくれました。
寄付や募金が大切な収入源でありながらも、犬の訓練をしている訳ではないため、なかなか集まらない現状があります。趣旨に賛同し、チャリティーグッズ購入や募金をしてくださることで、私たちの活動は支えられています。対面での販売はその場で、お客様に直接お礼が伝えられるので楽しいです。
メインイベント20周年記念ソングのお披露目。分かりやすい解説があったため覚えたての手話を一緒にやってくださるお客様が大勢いました。一緒に口ずさんでくださる方もいました。みんなが手話をしているし、みんなが楽器や音楽を楽しんでいるし、誰がどこにどんな障がいがあるか分からない、やさしい雰囲気に会場全体が包まれました。
今回イベント2日間を通して学んだことが2つありました。
出演回数が多く大忙しの盲導犬使用者さんに昼食のおにぎりを2個購入しました。
食べていただく時間を確保しなきゃと大急ぎで手渡したところ「中身は何?」。
そうだった!中身を説明しなきゃ分からない。いつもなら説明をしていたかもしれませんが、すっかり失念。急いでいるだろうからといって、省いてはいけない最低限の情報保証が出来ていませんでした。自分の至らなさに反省です。その後ご説明すると、笑顔で「私が大好きな具。」と笑顔で言っていただけたことに救われました。
2つ目は、聴導犬使用者さんの娘さんとの話している時の出来事です。
一緒に観客席で音楽を聞いていると、持っていたペットボトルに指を当て「揺れてるよ!」と教えてくれました。きっと彼女は日常の中で音を指で感じる感覚を身につけているのだと思います。一緒に貴重な体験をさせてもらいました。
補助犬法施行20周年。
補助犬と関わることでまだまだたくさんの学びがありそうです。イベントにご協力いただいた皆様、ありがとうございました!
(写真はすべてPhotographer 岡村智明)
9月4日、この日は分刻みでみっちり予定が入ってました。
盛りだくさんな内容に、スタッフも時間を気にしつつ、バタバタ駆け回りました。
2日目は、厚労省主催の補助犬啓発イベント「ほじょ犬ってなぁに」からスタート。3種の補助犬の育成団体さんが来てデモンストレーションがありました。なかなか見ることのできないお仕事の様子を解説付きで見せてもらった後の、実際のユーザーさんのお話に皆さん、「なーるほど」みたいなお顔!
いつもなら私とチャンプの出番となるトーク、聴導犬ユーザーさん2名が来てくれたので、安心してお任せし、私とチャンプも「観客」として参加できました。
コロナ禍で開催が減ってしまったこの厚労省イベント、、今後も以前のように定期的に各地でやれたらいいのにな、としみじみ感じました。
突然始まるからこそ面白い、フラッシュモブ。早稲田大学のフラッシュモブのグループさんたちとサプライズ企画として密かに準備を進めていました。
極秘(笑)ミッションゆえの準備や調整の難しさはありましたが、大学生たちの弾ける笑顔の中、とりあえずチャンプと一緒にコケることもなく登場できただけでもよしとしましょう。
視覚障害者の位置取りの難しさ、車椅子ユーザーさんの小回りの難しさ、聴覚障害者のリズム合わせの難しさ、そういうことに気づき、工夫したことが、学生さんたちの「学び」に繋がってくれてたら嬉しいな。
今回のイベントで最も悩み、もっとも話し合いを重ねたのが、こちら。
補助犬法20周年を記念して歌を作るのはどうか?という提案があって、サックス奏者の三四朗さんが作ってくださり、それをこのイベントで披露!ということは決まったものの、やっぱりそこに補助犬当事者を良い形で絡ませたいという思いがありました。
盲導犬ユーザーさんにとって「音楽」はとても身近でなじみな存在。歌で演奏で絡んでいただくことはすぐ決まったのですが、「歌」「音楽」とはどうしてもちょっと距離を置きがちな私たち聴導犬ユーザーも関われる、楽しめる方法はないか。
単に歌詞の言葉、フレーズを手話に置き換えて「通訳」したものでは、その「言葉」は伝わっても歌の持つものが伝わらない。
そのために「手話歌」はあまり好きではない、という聴覚障害者が多いのも現実。
だから逆に当事者である聴導犬ユーザーが一緒になってこの歌の手話Ver.を考えていきたい!というのが事務局の思いでした。
そこで、手話通訳の枠組みを取っ払った表現者として、何度も音楽ライブをされている橋本 一郎先生のサポートを受けながら、ユーザーたちがオンラインで、頭を捻りながら手話表現を決めていったのでした。フルに確定したのは前日!!それで迎えた本番!!
プロミュージシャンと共にステージに!!
本当はもっと練習して、水戸さんみたいな流れる美しい手話表現をしたかったけど、まずは全部を披露できたことを喜びたいと思ってます。
さらに!!曲の披露の前に、聴導犬ユーザーのTくんと一郎先生とで、観客の人たちへ曲の一部の手話レクチャーをしたことで、歌の間、一緒に手を動かしてくれてる人がたくさんいて、それにも感動してしまいました。
せっかくの記念ソング、いつかもっと練習して、上手にできたものを公開できたら良いなぁ、と思ったりしてます。
正直言ってしまうと、実は、このライブの時間、私は少し場を離れてお昼ご飯を食べに行こうと考えてました。
演奏も聴こえないし、歌も聞こえない。
だから、そんなに楽しめないだろう。
そう思ってたのです。
鈴木さん、大石さん、栗山さん、ごめんなさい!!
でも、、なんだかんだで離れずにその場に残ってた私。見るとはなしに見てただけなのに、、、実は、あまりの感動で泣いてしまってたのでした。
もちろん鈴木加奈子さんのトロンボーンは聞こえません。
でもスクリーンに流れる映像とフレーズ、そして加奈子さんの足下でにくつろぐパートナーの姿に涙。
もちろん大石亜矢子さんのピアノも歌声も聴こえません。
でも、スクリーンに映される歌詞と手話表現のしてくださったSさんが女性ということもあり、亜矢子さんの声が聞こえてくるような感じがして涙。
もちろん栗山龍太さんのギターも歌声も聴こえません。
でも、私自身のこれまでのパートナー達との出会いと別れを思い出される歌と、前に進んでいくチカラを与えてくれる歌が一郎先生の手話からガーッと伝わってきて涙。
聴こえなくても、こんなに音楽で感動できるんだって。
お昼食べに行かなくてよかったって。
今回このイベントでの私のメインが実はこちらのグッズ販売でした。
ふだん、オンラインストアで販売しているものをリアル販売できる!ということで、夏休み中、せっせと編んだり縫ったり。
1週間限定のJAMMINさんとのコラボチャリティーTシャツの販売と共に、たくさんの品揃え!!
チャンプもTシャツ着てショップ店員さんしました。
小さいお子さんを連れた方が「チャンプとお揃い!」って言いながらTシャツを買ってくださったり、
私の拙著(かなーり昔に出版しました)にサインしてください!なんて言って下さったり。
手話通訳さんのサポートやUDトークを使いながらしっかり接客させていただきました。
そして、学生のボランティアさんが販売を手伝ってくれたのですが、盲導犬ユーザーの方に、商品ひとつひとつ、触っていただきながら説明している姿に、ほっこりしました。トライ&エラー、そんな経験もきっと彼女たちの中に何か残すはず。
そんなふうに思いました。
他にもトロンボーン奏者の鈴木加奈子さんのブラインドメイクの紹介や横浜市周辺で活動されている団体さんのご紹介などもありました。本当にいろいろな方が関わるイベントになりました。
3年前の恵比寿の時は台風に悩まされ、今回はコロナの動向に悩まされ、無事に開催できるのか、どうなるのか?
あれ、どうする?これは??という事務局スタッフ2人の奮闘の日々をすぐそばで見ていたので、最後は事務局長の橋爪より先に泣いてしまった私。
事務局長、泣く機会、奪ってごめんね〜。
でも本当に多くの方にお越しいただきました。
笑いあり、涙あり、、本当にたくさんの方の力で完遂できたイベントだったと思います。
関わった全ての方に感謝!!なのですが、その中でも特に、感謝したいのは手話通訳を担って下さった4名の方々。
いちろう先生と、彼のパッションが引き継がれた若い3人の方達には情報保障という意味での通訳を超えた手話、そして、手話通訳の立場を超えた、「一緒にイベントを創り上げる仲間」のような感じで、2日間フルに動き回っていただきました。
私を含む聴導犬ユーザーや聴覚障害のある参加者が、こんなにもステージを楽しみ、企画を楽しみ、人との出会いやふれあいを楽しむことができたのも、全てこの4人のおかげ。
本当にありがとうございました!!
この笑顔に支えられた2日間でした
補助犬法ができて20周年、ということで、大きなイベントになりました。
単に法律ができてから20年というだけでなく、その間にできた絆やつながり、積み重なってきた思い、そんなものの集大成だったような気がします。
でもこれでおしまいではありません。
これからも1つ1つ積み上げて、道を切り拓き、さらに素敵な30周年、40周年を迎えられるように、頑張っていきたいと思います。
これからもまたたくさんの笑顔と出会えますように。
日本補助犬情報センターは歩みを止めず、緩めず、しっかり進んでいきたいと思っています。